なんでも、ハリーが百年ぶりの最年少シーカーに選ばれたらしい。そうドラコが憎々しげに話すので、あらあら、といった感じで聞いていた。スリザリンの談話室は生徒がまだらに寛いでいる。

飛行訓練の授業で、ロングボトムくんっていう子が吹っ飛んで怪我をして、その間に彼の持ち物を隠すとハリーを挑発。そして空中戦であーだこーだしてハリーがマクゴナガル先生に見つかったらしく、降りてみんなに囃したてられていたところにマクゴナガル先生登場。

連れていかれたので怒られていると思ったら、なんとまぁシーカーに選ばれていた、と。マクゴナガル先生もやるね。まさか規則を曲げるだなんて。でも、シーカーならレギュラスさんがいるのに。

「僕の方が絶対箒の腕がたつのに」

「まあ、選ばれちゃったのは仕方ないよ。ドラコは来年選ばれるよう頑張ろう?」

ドラコも飛行術は結構得意だ。クィディッチをやりたいという小さなドラコに父上が箒を買い与えて、屋敷の裏で練習していたのは懐かしい。

ただ、ハリーは天性の才能も持ち合わせているんだろう。親譲り、というとなんだか七光りに類するようにも聞こえるけれど、ジェームズのクィディッチの腕前は凄かった。

レギュラスだって、ずっと凄かった、けど。

「あいつだけ規則を無視出来るなんて依怙贔屓だ。父上に言いつけてやる…」

「ダーメ。そうやってなんでも父上に言いつけるなんて子供のやることだよ。卒業した方がいいと私は思うな」

「姉上はポッターの肩を持つのか」

むすっとしたドラコの頭を撫でる。うおっ硬っ。頭かっちかちだ。整髪料の使いすぎは、髪にも頭皮にも絶対によくない。髪型安定しすぎだろ…これ…。

「そんなこと言ってないからね」

父上よりはずっといい子だから、きっと悪い方にはいかないはずだと思うんだよ、私は。父上の場合、もう取り返しがつかなかっただけというか、時代が時代というか。


横に置いてあった新聞を見ると、見出しにはゴブリンが4人ほど映っている大きな写真があった。文章によれば、グリンゴッツに強盗が入ったそうな。

すげぇな。グリンゴッツに強盗だなんて。そうとう切羽詰まってたのか、ただの馬鹿なのかだよね。でもなんにも盗まれてないのなら、あるいは、何が目的だったのかな。

「今度のクィディッチの試合でぼこぼこにされたらいいのに。スリザリンとグリフィンドールだ」

「ドラコ、そんなこと言わないの」



(弟と姉)