クリスマス休暇で久々に実家に帰宅。そして家族と顔合わせ。ドラコはぎゅうぎゅう抱きついてきて、少し苦しい。だけど可愛いからよし。私の弟はこんなに可愛い。

「おかえりなさい姉上!」

「うん、ただいま。母上も父上もただいまです」

はにかみながらの挨拶である。半年振りくらいなんだけど、手紙での交流があったせいで久しぶりっていう気分じゃない。顔を合わせたのは本当に久しぶり。

「姉上、ホグワーツは楽しい?」

「うん。魔法薬学とか、変身学とか、すごく楽しい」

ソファに座りながら談笑する。ドラコは来年入学だから、気になるのも仕方ないよね!私これでも私は二回目の一年生になるのだから、勉強はちょこちょこ聞いてるだけで思い出す。クリスマス休暇明けにある期末テストにもきっと対応できると思う。

セブとかレギュラスさんのことなんて、そんなことはさすがにドラコには言えないし、ましてや父上や母上にも言えない。これは私の胸の内でどうにかするしかないってことだろうか。

「僕も早くホグワーツに行きたい!」

「勉強は大変かもしれないけど、ホグワーツは楽しいからね」

くすくすと笑いながら、ドラコの頭を撫でる。いいなあ、学校では結構なぼっちだったから、ここまでひっついていられるもなんだか新鮮な気もする。ドラコはいつもかもしれないけど。

ドラコは私がポラリス・フォンダンという「前」を持っているだなんて知ったらどう思うのかな。マグル生まれの、穢れた血。最初から「前」の記憶なんて持ってなかったらいいのに、邪魔になってしまう。なかったならどんなに幸せだっただろう、なんて思ことも少なくない。

だって、そうだったなら純粋にドラコの姉として、父上と母上の娘として、ポラリス・マルフォイとして生きて行けたかもしれないのに。

ああもう、暗いこと考えていたら気分まで暗くなってしまう。くだらない感傷はやめておくべきだ。うん。

「ドラコ、クリスマスプディングはカスタードで食べるの?」

「あ、母上、私は例年通り生クリームがいい」

「僕は今年からそのまま食べる」

母上と私がぽかんとドラコを見つめた。いったいどうしたんだろうか。いつもプディングにはカスタードをつけあわせて食べていたのに。

「僕も来年からはホグワーツに行くんだから」

その言葉に私と母上は顔を見合わせて、それで笑った。ドラコはとてもドヤ顔をしていた。たまらなく可笑しい。なんていうかこう、若かりし頃の父上…というかルシウスを見ているようだ。これはひどい。本当にひどい。

「そうね、そうしましょうね」

「ドラコ、うん、そうしたいならいいんだよ」

笑いながらドラコの肩を叩く。いいことなのに、ドヤ顔がそれをギャグにしていく。ドラコは母上に似ているはずなのに父上に似ている。ドヤ顔が。

こうやって私のクリスマス休暇は過ぎていくわけですね、わかります。

 * *

休暇が終わったなら、テストと、レギュラスさんについてのこと。

考えなきゃいけないことはたくさんあって、答えの一部は私の中にあるはずなのに出てこない。ぐるぐるとまわる「前」の記憶の中で、レギュラスさんの事だけ除外されているようで。



(サンタさん、教えて)