同じようなデジャヴを感じる。
あのね、髪を纏めてる女性の先生がこっちを見てる。確かに「前」の私に入学許可証を持ってきたあの先生だ。それはわかる。
一年生の名前を呼んでいってる時にちらちらっ、と私の顔を見てるんだよ。おいやめろ私の名前探さないで。
しかし問題は奥の席に座ってる、全体的に真っ黒でのぺーっとした髪の先生。むっちゃこっち見てる。見てるっていうか凝視。視線で殺せる勢い。もしくは穴が空くレベル。
しかしあの人に見覚えは全くない。多分「前」の知り合いなんだろうけど、生憎顔を見ても思い出せない。いや、一瞬顔を見たんだけど怖すぎてすぐ逸らした。しかしまだ見てくる。やばい怖い。あの人なんなの。ねぇなんなの。誰か助けて怖い。
名前を呼ばれて各寮に割り振られた子が多い中、私のファミリーネームはマルフォイだからまだ残ってるね。んでまだあの人見てるね!怖いね!!
「マルフォイ・ポラリス」
「…はい」
うわぁあああ呼ばれたああああ。しかしポーカーフェイス。もとも冷静そうな顔付きだから、無表情なんて朝飯前なんだよ。よくわからない特技である。
椅子に座ったら組み分け帽子を被せられた。こいつ確か喋るんだよね。魔法すごいよね、本当。
「二度目か」
「どうも」
「時々おるんじゃ、君のように廻ってくる子供がな。ふぅむ…」
まじか。リアルセカンドライフ送ってる人いるんだ。もしかしたらこの中にも私と同じように、前世はあーだこーだと覚えている人がいるのかもしれないってなんだかすげぇな。運命感じる。
「あ、出来ればスリザリンで」
「前のようにグリフィンドールでなくていいのか?」
「いやぁ、お家がスリザリン系だから…」
「異端児にはなりたくない、と。まあそれもよかろう。――スリザリン!!」
わー、とスリザリンの列で歓声が上がる。私の名字を聞いてるなら当たり前だとか思ってるんだろうなあ。本当は血筋だけじゃなくて、本人の本質を見て組み分けをしてくれるんだけどね。無論何も言わなきゃ私はグリフィンドールだったんだろう。ヒヤヒヤするね!
席に就く。馴れ合う気なんてないぜ、と一匹狼よろしくでつんけんして前を見ていると、さっきの先生がまだこちらを見ていた訳で。
「…こわ」
校長先生の話を聞いてると、だんだんと思い出してくる。ダンブルドア先生、マクゴナガル先生。んであの顔の怖い人がスネイプ先生。しかしながらこの先生はやっぱり知らない。誰なの。なんで私のこと見てるの…こわぁ。
スリザリン寮は地下牢とか…やだ…陰険…。あとあのスネイプ?先生がスリザリン寮の寮監だとか。どういうことなの。目ぇ付けられてるだけ?え?そうなの?
宴じゃー、とダンブルドア先生が告げると、目の前にご馳走がずらり。そういえばこうだったな、と思って食事に手をつける。うん、悪くない。
一応私はいいとこのお嬢様である。食事の取り方がはしたないのはいただけないから、きっちりとマナーは守るようにしている。もちろん普通にもぐもぐ食べる方が性にあっているのだけど、それで家名が傷付く云々とかの問題が起きるのはややこしい。
どこどこの生まれ、だとかの話題で盛り上がる周りとは一線置いて食事を続けた。話し掛けられることはあっても、必要なことだけを返した。なんだかご機嫌とりのような問い掛けもあったのだけど、そういうのは後々面倒だろうから無視。ちょっとした一匹狼気分である。
家名を聞いて態度が変わるのって怖いよね。そんなに血筋が大事か馬鹿やろう。しかし口に出すとまた家の威厳云々に響くらしいから、安易に口に出せない。生まれがいいのは面倒なんだね。
純血主義じゃないけど、お家は純血主義だし。むしろ父上がマグル生まれを穢れた血って呼んじゃうし。私は「前」がそうだから絶対に言わない。それにマグル生まれの方が純血より優秀だってこともなきにあらずだからね。
やっぱり私はスリザリン気質には馴染めないだろうなあ。父上もレイブンクローなら文句は言えないだろうし、レイブンクローに入れてもらって秀才ロードを走るべきだった…くそう。
しかしまだあのスネイプ先生こっち見てるんだけど。いい加減やめてほしい。本当に怖いんだよいやまじで。
(一匹狼でよろしく)
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