アンタ相変わらず変なやつだな､と言う佐久間を殴ってやりたい､それから蹴って､叩いて､それから…｡

「変だよ､やっぱアンタ」
「………知ってる」

だけどそう､知ってるさ｡俺は変だ｡
どうしてもいやになって､全部どうでもよくなって､ぐちゃぐちゃにしたくなる｡そうだ俺は､変だ｡

「じゃあ直せばよくね?」
「治らないと思う」

おまえにだけばれた､俺のこの『病気』｡
一言で言うなら自信喪失｡だけどそんな簡単に纏めないでほしい､俺はもとから自信家じゃない｡

「おまえはないのか､こういうこと」

俺が聞くと､こいつは憎いくらいにピカピカ笑った｡

「俺は鬼道さんさえよければいい」

重いと思う｡こいつの愛｡
俺が鬼道だったら…｡思うだけで参る｡ああ｡

「風丸」
「…なんだよ」
「なんか話せ」

沈黙は気まずいから｡言った佐久間を殴ってやりたい｡蹴って叩いて､ああもう!

「気まずいなら帰ればいいだろ」
「チームメイトを放っておけないのは､俺の悪いとこだな」
「……」

つまりおまえさ､俺を心配してると言いたいわけか｡

「…ウッゼ」
「は? なんで」
「なんとなく」
「意味不明｡黙れ」
「俺に黙ってほしいならおまえが消えろ」
「っだから､」

佐久間の声音が変わる｡
黙れと言ったときよりそっけなく､だけど不思議といやじゃない｡

「俺はアンタがほっとけないんだ｡―――アンタさ､気づいてるか」
「…なにを」
「さっき､アンタ俺に『おまえはこういうことないのか』って聞いたんだよ」
「だから?」

佐久間は､わかってないなと呆れたようにため息をついた｡なんだこいつむかつく｡わかってないけど｡ていうか､こいつの言うことがわかってたまるか｡

「アンタが自信喪失してるときに､他人を気にしたの初めてだ｡しかもその相手は､なんと俺」
「…は?」
「アンタさ､絶対､変わってきてるよ」

…………なんだこいつ｡なんだよ､こいつ､いきなり､なんだよ｡

「俺は円堂みたいに上手くないからアレだけどな､だけどアンタ､なんか良いよ」

すっげえ良い｡
言って佐久間は､鬼道を見つけて飛んでいった｡「鬼道さん! 鬼道さんのさっきのプレイって､」……｡ああもううるさいな!
だけど､そうだ､俺は変だ｡
なんでだよ､さっきより､全然いやじゃない｡