「『チャラ男会計は暴君に限る!!』」
「…………」

理解不能。
そんな四字熟語が頭を過った。

「何を言っている、王乃。」

突然前記の一文を発した少年を見据える。きらきらとした金髪を弾ませ、彼の視線が寄越される。

「天のお言葉。」
「今日は皆おかしいぞ。書記もお前もメタい発言は止せ」

彼こそ俺の風評を地に落とした転校生(因みに彼の人気は反比例して鰻登り)。勝手に生徒会室に上がっておいて、学ランを適当に脱ぎ捨てるのは止めてもらいたい。

「書記のことは知らないよ、あっちがパクリだろ」

いや、書記のほうが先だ。

「このあいだ中間テストだったよね、会長。首位おめでとう……なんでドン引きしてんだよ」

2人きりでいる時に王乃に褒められたのは初めてだ。気色悪い。とにかくコイツは猫被りが得意で、皆この底意地の悪さには気付いていない。だからこそあれだけの好評を受けているわけだが。凄く気色悪い。

「それがどうかしたかね」
「俺は3位だったんだよ」

初耳だった。おそらく成績は良いのだろうと踏んでいたが、他の生徒会役員や委員長連合を抑え、3位に即するとは。
放課後は基本生徒会の仕事が入っており、テスト結果を見る余裕は中々取れずにいた。つまり、自分の順位を知ったのも今が初めてだ。
はあ〜、と態とらしく大きな溜め息をする転校生。

「会長は頭ヤバイレベルで良いけど、会計くんも結構化け物だよな」
「……そうだな。未だに勝てない教科もあるよ」

頭ヤバイ発言には今更突っ込む気になれんな。


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