青い空はオレンジに(志摩雪)
茜に染まる教室から、ガラス越しの空を見る。切り取られた空はオレンジ。
窓辺に立つ僕の後ろには、僕の席で頬杖をつく志摩くん。
「君は、一生僕の一番にはなれません」
「分かってはらへんなぁ、若先生。」
遥か聞こえる青い声
「一番やなんて、面倒なだけやし。そんなん俺には無理やわー堪忍え(笑)その点、若先生は楽やわ。一番は奥村くんやし、」
「君も僕が一番ではないのでしょう?」
「せやね。一番やあらへんえ。」
「…そんなの、不毛だ」
立ち上がる音がする
振り向いた時には、至近距離
「…分かっとるよ。ほんでも、俺は若先生が好きや」
目が合って、逸らせない。
音のない言葉が重なって、事実を生む
柔らかく食んで、赤い舌が唇を舐めて離れる。
「答え、今やなくてええですよ」
背中を向けて歩き出す。
待てよ、そんな、
こんなことされたら、頭の中が君のことでいっぱいじゃないか………
「クッソ…」
壁に打ち付けた拳
痛みだけが明確に届く
[目次]