千々も積もる四方山話(柔金)
柔兄がひどい人です。
そんな柔兄が許せない方、根性焼きの意味が分からない方、嫌いな方は読まないでね。よい子のお約束☆←
追い掛けていた。
兄の背中を
その背に背負う僧正血統の血筋
流れる血は、同じなのにその重さはまったく違う。
目も覚めるような、四方山話
散々に泣いて、鳴いて、啼いていた。
言葉を飲み込んで潤して喉を潰して嗄らして、名前を呼んだ。
蝉だけが鳴く、ざわめいた夜でした。
肩口に兄の頭を感じて、その黒髪を撫でた。
言い訳したいのは、汗を追った視線がやらしかったのだとか、そんなことじゃなく。
前々から、兄を欲に塗れた目で見ていたことだ。
何度言い訳しても、足りない。
兄が、柔兄が…欲しくて堪らなかったのだ。
「ん、柔兄っ……」
「なんや、今更イヤなんて言いなや…兄ちゃんの名前呼びながら、此処こんなにしとんは金造やろ。」
違う。違う。
イヤなんてない、触られるんをイヤなんてあらへんけど
ただ、柔兄が俺で汚れるんはイヤや
ひっきりなしに上昇する温度を捕まえて、口から二酸化炭素として吐き出す。
俺しか見えんようになったらええのに
俺のこと見えんようになったらええのに
矛盾して、ぶつかって……
明蛇の為やから、命も捨てれる。
守らなあかんもんがあることは幸せやと思う。
アホの振りして生きるんが、一番楽やと思っとる。
せやのに、
「ん、ぁ゛…柔、にぃ……」
喉から啼いた。
熱い舌や、汗や
その全部
俺自身に、絡む指が上下に揺れて
尿道に与えられる過ぎた快感に声をあげる
熱いあつい、
狭いのに、無理やり犯される自分の内に
熱が高ぶって仕様がないやなんて、変態やなぁ、なんて泣きながら喘いで
感情なんか要らんけど、消えへんなんかが欲しいやなんて
中で膨れ上がる熱に、力を込めて締め付ける。
「っは、淫乱や、な…っ、」
「っはぁ、はっ、柔、にぃ」
熱を治めきった柔兄が、煙草に手を伸ばす
着けられたら火の微かなゆらめきを追いながら、ドクドクと熱く脈打つ自分の内に抑えが効かなくなる。
紫煙がゆっくり揺らいで、肩口で消えた。
「っあ゛っ、ぁ゛っは、クッ……ん゛…あ゛あ゛あ゛」
熱くて爆ぜる。
真っ白んなって、体が強張る。
「お前、こんなんでイくんか、ほんま変態やな」
頭が真っ白で追い付かないのに、熱の律動が始まって気持ち良くて分からなくなる。
教えて欲しい
この感情の行方を
声が掠れるほど啼いて、それでも柔兄は手に入らない。
入らなくていい。
そこには目も覚めるような四方山話
ただ、ただ、そこに愛など在ってはいけないのです。
[目次]