神様、どうか(雪燐)
背徳を積み重ねて大人になる。
「兄さん、」
背中に傷を負った兄
みるみる内に治癒されていくその傷を、掌でなぞる。
「ック、……雪男まだ、いてぇ」
「あぁ、ごめん」
綺麗に皮膚が再生していくのをただ見ていた。
僕にはなにも出来ない。
父さんのように、兄を正すことも守ることも
裸の上半身に、小さく口づける。
「ぁ、雪男っ」
「…黙って」
「、雪男っ、ふ」
舌で皮膚を舐め上げて、反応を示す体に腕を回す。
後ろから、抱き締めて肩口に顔を埋める。
「兄さん、」
ゴメン、……ゴメンナサイ
僕は何も出来なくて
肩口に噛みついて、感情を押し殺した。
「いっ、つ……」
「なに、感じたの?噛んで感じるとか変態だね…」
「うっせー!おめぇの所為だろうが!!」
神の教えに背を向けて
冒涜した
それでも、僕は兄が欲しい。
兄の心が欲しい。
主よ、どうか罪はすべて我が胸に
[目次]