泪のしずく。
苦しそう
悲しそう
その涙は誰の為
その涙はなんの為
背中を見下ろして、腰骨に左手を添える。
「はぁ、はっ…」
「奥村、もうちょい我慢しぃや」
「っは、ん…」
コクコク首が揺れる
押し入る
土足で、心にも身体にも
内壁を押し上げて、充分解したとは言えまだ狭いそこに強く押し込む。
「あ、つ、…ぁ、勝呂…」
「きっつ…息吐け」
尾てい骨から伸びる尻尾を強く掴んで引き寄せる。
「あぁあっ、ん、あ、や、っだ…すぐ、ろっ…尻尾やめっ…」
力が抜けて、スルリと抵抗が止んだ
その隙を見計らって、奥まで割り込む
「あぁああ、っ…ふ、ぁ、ん」
ゆっくり律動を始めて、徐々に浸食していく。満ちて欠けての繰り返し。
ひっきりなしに上がる嬌声を体重をかけて、奥村の頭をシーツに押し付けることによって軽減する。
「ん、ぁ゛…っはぁ、はっ」
「なん、や、泣いとんか」
「泣いて、ねぇ……あっ、」
「泣けや」
届かん声やと思っとった。
零れる幾筋かの濁りのない液体を、綺麗やと思った。
熱をただ穿ちながら、泣けばええと思っとった。
人前で笑う分、人前でおちゃらける分
俺の前では、泣けばええ
「奥村、泣いてええんや」
指を通した黒い髪は、黒光りして流れた
「すぐ、ろ……す、ぐ」
「あぁ、聞いとる。」
耳の裏にキスを一つ
「燐、好きや」
特別甘くて低い声で
奥村自身を握りこんで熱を分け合う
ただ、ただ、頂点を目指して。
[目次]