where am I going?







雨に混じって、新緑の匂いがする。
縁側に座って雨に手を伸ばす。
ひそりと霧雨に濡れた、指先がじんわり涼しくなる。

「あれ、廉造。お前、今日平日やぞ、学校どないした」

「あ?この前の土曜日マラソン大会やったやろ、振替や」

「あーなんやそないなこと言うとったなぁ」


隣に座って、顔をこちらに向ける金兄を見る。

「金兄こそ、今日仕事やないん?」

「今日は、非番や」

いつの間にか気が付いたらこの兄の身長も越してしまって軽く見下ろす形になる。

耳横で止められたヘアピンは、見たことがない色の付いたもので、なんだか胸がざわつき始める。

知っている、この兄が誰の物かなんて
このピンだって、柔兄に貰ってたん見てたし

金髪に隠れた首筋に見落とすほどの小さな痣を目敏く見つけてしまう自分を呪う。

「……なぁ、…昨日の夜、柔兄となにしとったん」

「は?なんもしとらへんわ」

「…ふーん、……金兄、声、もうちょい抑えた方がええと思うで?」

痣を指の腹でさする。

「………っ!!お前、…」

「なぁなぁ、金兄」


服を引っ張る。
バランスを崩して、フラつく体を抱き留める。

耳に唇を当てて小さく囁く。

金兄が逃げられないように、離れていかないように。まるで縛り付けるように

途端に耳まで赤くして、大人しくなった金兄の手を掴んで立ち上がる。
自分より小さな体を引っ張りあげて、連れて歩く。




自分の部屋で、まさかこの兄を組み敷く日が来るだなんて思わなかった。
口止め料なんて気休めで言ってみたものの、案外簡単に今の状態へと持ち込めているわけで……手に入らないと諦めていた人が、今、目の前にいる。

金兄の体に覆い被さった状態で、金兄は体を横に向けて必死に抵抗の素振りを見せている

横なんか向いたら自分が余計身動きとれへんて分かってんのかなぁー
ほんま可愛えわー

金髪の隙間から覗く形のいい耳に音を立ててキスをする。
強く瞑られる目蓋と揺れる体。
ねっとりとそのまま耳を舐めあげて、唾液を零す。

「…///っ!!……ふ、…ん、」

鼻にかかる甘い息が愛しくて堪らない。


ずっと我慢してきた
柔兄のもんやから、俺じゃ間になんて入られへんて、諦めてきた。

服の隙間から腹を撫でて、わき腹をさする。
ビクビク痙攣を繰り返す体が愛しい


「、…はっ……ん、………れんぞ、やめっ」

「うん、ごめん」

どうしようもなくて、謝った。
悲しくて、指を伸ばした。
蹂躙した、この人の想いを

ほんでも、好きなんやって子供のワガママやな

一番下やから、みんなに甘やかされて育った。
この兄だけが俺を目の敵にしてた、やけど、ほんまは俺のこと一番心配してくれとんは金兄やって、俺知っとったで?
やのに、ごめん

ごめんなさい

めくりあげた服から覗く胸の突起に舌を這わす。指と舌で弱い刺激を送る。

「んー、…ぁ、あっ…」

理性を一枚ずつ殺いでいく。

殺いだ理性を口にして、好きの代わりに口づける。

柔らかくもない白い肌が、手に馴染む。
舌で一つ一つを確認して

甲高い声で、喘ぐ舌に絡む唾液に胸が一つ鳴った。

「……金兄、…金兄…………」

「ぁ、あっ…ふ、れんぞ…もう、やめっ…な?あっ」

こんなにしても、優しい其れと目が合う
ズルい

寛げた下腹部に、顔を近づけて金兄のモノを食む。
舌を使って上下に愛撫を加えて、裏筋にも舌を這わせて
ヒクリと大きさを増す、其れを何度もちゅっちゅっと吸い上げる。

欲に濡れた目をする癖に、腰は物欲しそうに揺れる癖に、口からは否定しか出てこない。
やだ、を繰り返す口を塞いでしまえたら随分楽なのに

「なぁ、金兄一回だけ、柔兄やと思ってええから。」



『一回だけ欲しがってや』



雨の音が聞こえてきて、また一つ心臓が派手な音を立てた。
必死で声を我慢しようとする金兄のモノをまた食んで、刺激を加える。

高みに昇るように、確実な刺激を送って
揺れる腰を引き寄せて、収縮を繰り返すそこにひそりと指を添える。

頂点に昇るように、ぐにぐにと同時に刺激を与える。
呼吸が短くなる。
速くなって、

「ぁ、いや、や……はな、れん、ぞ……ぁ、ぁ、………ーっ!!」

口で受け止めた性の塊を、そのまま舌を使って塗り込んでいく。

「あ、ん、…ひぁっ、いや、や…やぁ、あぁ、いや」

指を添えて、一本押し入れる。
内壁がゆるく絡みついてきて、収縮を繰り返す。
ゆっくりと指を増やして解していく。
ふ、と見上げて目が合った

目は涙で濡れて、目尻は真っ赤になって
あぁ、あかん。
そんな顔されたら、我慢出来んし


「金兄、…」

傷付けないように、時間をかけて割入る。

「ん、ぁ……、じゅぅ…あ、んっふぁっ…」

何度も二番目の兄の名前を呼ぶ、目の前の人

そんでも好きで堪らん
そんでもええから、見て欲しい。

俺やなくて、柔兄しか見えてへんのやって知っとるからそれでええから

「あっ、ん…ぁあ、ふっ…っは、」

固く閉じた目蓋を必死に見やって、欲に濡れた顔や汗に欲は昇っていく。

「ん、金兄…」

「あ、…っはぁ…あぁ、あ、あ、あ、っんー…!!」

腰が一際大きく波打って、白濁が吐き出されるのを見てた。
その情景に、一際興奮して、イった時の締め付けに自分も果てた。



後に残ったのは、深い背徳感だけで
そのまま、逃げたい衝動に狩られた自分を戒めて、気を失った金兄の傷んだ髪に指を入れて小さな痣を指の腹で撫でた。








[目次]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -