青黒
青峰に甘いテツヤさん

「……本当に君は馬鹿だ」
自分より頭一つ大きい、青峰くんの身体に腕を回して、ぎゅうっと力いっぱい抱きしめた。
こんなにもバスケの神様に愛されているのに、この人はバスケではいつも孤独だ。それがかわいそうでかわいそうで仕方なくて、僕がこの人の孤独を埋めてあげたい、力になりたい、そう思って。
だって、僕は君の影になるって、ずっと前に決めたから。

「世界中でひとりきりだなんて、思わないでくださいよ」
テツは細い腕で一生懸命俺の身体を抱きしめた。その小さな身体から伝わる温かさに、優しい言葉にじわりじわりと溶かされて、俺は素直になっていく。
「だって、みんな離れていくんだ」
「……はい」
「俺は、ただバスケしたいだけで、本気でプレーして勝ちたいだけでさ、でも本気でぶつかるとみんな壊れちまって」
「はい」
「だったら俺、どうすりゃいいの。お前だってきっと、いつか」
「僕は離れていきませんし、壊れたりしません」
ぽん、とテツの手のひらが優しく俺の背中を叩く。
「だから、安心して」
涙腺までもを解されて、いつからか枯れていた涙がぽろぽろと頬を伝う。
俺はテツの薄い肩に顔を埋めて、小さな身体にすがり付いて、ガキみたいにわんわん泣いた。




2012/06/25
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