シャルルカンとジャーファル
※シンジャ前提のシャルルカンとジャーファル
「後でこうして一人で泣くくらいなら、はじめからあんな憎まれ口叩かなければいいのに」
「……うるさいよ」
「俺、昔は王様のこともジャーファルさんのことも、もっとずっと大人だと思ってたんすけどね、……これじゃまるで子どもの意地の張り合いっすよ」
「うるさいって言ってるでしょう!」
駄々を捏ねた子どもをあやすような物言いのシャルルカンに苛立ったジャーファルは、手元にあった分厚い書物をぶん投げた。宙を舞った書物は、昼間アラジン達が目をキラキラさせて読んでいたシンドバッドの冒険書だった。まだ純粋に冒険を楽しんでいられた頃の、美しい思い出の記録は、シャルルカンの脇の壁にぶつかり、床に落ちてぐしゃりとひしゃげた。
「……放っといてよ、頼むから」
震える声で告げられれば、シャルルカンもそれ以上は何も言えなかった。くるりと踵を返し、部屋を出て行った。






2013/11/08