若松と青峰
俺たちは誠凛にWCに負けた。と同時に今吉さんや諏佐さんたちは引退となり、俺が主将になった。桐皇の主将になるってことは、青峰の世話係になるってことだ。俺には、とてもじゃないけど今吉さんみたいに、青峰をうまく転がすことができるとは思えなかった。



「……オラ、こんなとこで寝てんじゃねーよ。風邪ひくぞ」
肩を揺すった俺の手に、浅黒い手のひらが重ねられた。子供体温の青峰の大きな手のひらは温かい。重ねられた手のひらにも、呟いた名前にも、俺は目を見開いた。
「ん……いま、よしさん」
「え……?」
のろのろと目を開けた青峰が俺の姿を認識すると、眉間に深いシワを寄せて重ねていた手を引っ込める。
「なんだ、アンタかよ」
脇に転がっていたバスケットボールを抱え、タオルを頭にかぶって、青峰は体育館から出て行った。
(なんなんだ)
(なんなんだ、あの)
手のひらを重ねた時の、あの穏やかな表情は。あんな顔は、見たことがなかった。
(アイツ、今吉さんと、一体)





2012/10/25
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