黄瀬と黒子
「黒子っちがうらやましいっス」
だって、青峰っちの瞳には黒子っちしか映らない。どんなに毎日1on1に誘っても、一生懸命練習しても、気を引こうと頑張っても、黒子っちにはかなわない。
「……正直に言います。俺、挫折とか敗北とかって、今まで味わったことないんスよ。どんなことでも人並み以上にこなせたし、この顔でだいたいのことは何とかなったっス」
「むかつくこと言いますね」
「まあまあ、最後まで聞いてください。……だから、ろくに努力しないで何でも出来たからこそ、黒子っちのことをマジでスゲーなって思ったんス。努力して、結果がすぐには出なくても、諦めないで、そして認めてもらって今ここにいる」




「ねえ、黄瀬くん」
黒子っちが震える手で俺の拳を包み込む。
「君は僕がうらやましいなんて言うけれど、僕だって君がうらやましくてたまらない」
「……なんで……」
「だって君は、……君だって"光"です。僕はどうあがいても、君みたいに青峰くんと1on1なんて出来やしない。彼と……皆と、対等ではいられないんですから」






黒子がうらやましい黄瀬と、黄瀬がうらやましい黒子
二人ともないものねだり






2012/08/29
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