子猫丸としますぐ
志摩さんと坊は付き合っている。知っているのは、二人と、僕だけ。
志摩さんから、きつく口止めされていた。当然だ。座主に手を出したことが八百造さんにばれたら、明陀にいられなくなるだろうから。あの人はとても厳しい人だから、絶対に許さないだろう。
『子猫さん、お願いやからこれだけは絶対言わんといてや。一生のお願いや。子猫さんさえ黙っとってくれたら、正十字におる三年間だけは、誰にも邪魔されない、正真正銘の恋人同士でおれんのや。お願いや、二人っきりで誰にも邪魔されんでおれるのなんて、今っきりや』
志摩さんは今にも泣きそうな目で僕に言ったのだった。

『廉造』
ある日、柔造さんから志摩さんに電話が入った。
『京都に帰ってこい』

志摩さんは正十字をやめることになった。処分はこれから話し合って決めるらしい。八百造さんはかんかんに怒っていると、柔造さんが言っていた。

「子猫、何で柔造に話したんや」
坊は泣き晴らした目をしていた。唇を噛み締め、拳を握り締めて、まだ枯れない涙を溢さないように堪えながら、声を荒げないように圧し殺して僕に尋ねた。
「やって、これが明陀のためやから」
僕は微笑んだ。
「時期座主と志摩家の五男坊が恋人同士なんて、とんでもないスキャンダルやないですか?この先志摩家を優遇することにもなりかねないですし。ねえ坊、あんたは結婚して跡継ぎを作らなあかんのですよ?明陀を支えていかなあかんのですよ?もっと責任を持ってもらわんと、ね?困りますやろ」
坊の瞳の涙の膜は決壊した。


微妙に前の蟒八百@とリンク。子猫さん天使のはずなのにどうしてこうなった




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