勝♀志摩
「うわあ……」
子猫丸が思わず呟いた。勝呂も顔をしかめた。
たったっと軽快なリズムで走ってきた志摩は、制服の上着を着ておらず、ブラウス一枚だった。それは別にいいのだが。
前から見ても分かるくらいに、くっきりと下着が透けているのだ。どぎついピンクが。
「おはようございます、二人ともどうかしました?」
「いっ、いえ別に……なあ坊?」
「おっ、おん………」
気づいていないのか、はたまた気にしていないのか、志摩はけろりとしている。そんな彼女に『ブラ透けてんで』とは言えなかった。

□□□

「あー…もしかしたらお前は気づいてへんのかもしれへんけどなあ、朝から透けてんねん、どぎついピンクが!」
やけくそになった勝呂が志摩に言い放つ。
「えっ……」志摩は頬を赤らめる。
「ウチ、全然知らんかった……どないしよ、はずかし……」
勝呂の眉間のシワが深くなり、彼の頬も赤らんだ。着ていたベストを脱ぎ、志摩に突き出した。
「……汗臭いかもしれへんけど、ないよりましやろ。今日はそれ着て帰れ」
志摩はまばたきを繰り返す。勝呂は「恥ずいやろ、早う受け取れや」と志摩にそれを押し付けた。
「って、そうやないやろぉ!?」
いきなり叫ぶ志摩に、勝呂がぎょっとする。
「気づいてないわけないやん!確信犯に決まっとるやん!鈍いにも程があるわこのヘンタイ!」
志摩は勝呂を罵りながらつかつかと勝呂に歩み寄る。勝呂は志摩の剣幕に押されて後ずさりし、机につまずいてその上に腰掛けてしまう。志摩が勝呂に覆い被さるように詰め寄った。
「なあ坊、アンタはうちら三人、昔みたいにずうっと仲良しの幼馴染みでいたいとか甘っちょろいこと考えてんのかも知れませんけどね、そんなの無理ですえ。人は変わるんです。少なくとも、ウチは変わった。見た目も、中身も」
志摩は勝呂の手を取り、自身の胸の膨らみへと押し付ける。周りの女子より少し大きいそれに、志摩は少なからず自信を持っていた。勝呂が「しま、」と頼りない声をあげた。
「ウチ、もう昔とは違うんです。おっぱいも膨らんできたし、下、指で弄ればきもちよくなれるって知ってます。ムラムラしたりも」
「しま」
「坊、坊お願いやから、ウチのこと“女”として見て?ウチのこと、抱いて」




03/21
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