廉造と金造
八月、夏真っ盛り。午後は非番。縁側に寝転がりぼうっと空を眺めた。
二十歳まであと一年もないことに、最近気付いた。小さい頃に適当に考えた、“二十歳までにやりたいこと”。ナイスバディのおねーさんとの濃密な一夜。ハワイのビーチで水着姿のおねーさんを観察。富士山に登る。ライオンとパンダを見る。ピーマンを食べられるようにする。坊より背が高くなる。柔兄よりモテる男になる。その他、諸々。
結局ナイスバディのおねーさんとは未だ濃密な一夜を過ごせてはいないし、ハワイや富士山に行く暇も金もなく。ライオンやパンダは未だかつて見たことがないし、ピーマンは今も苦手。今でも坊の方が背が高いし、柔兄は結婚しても相変わらずモテている。
流されるまま、なんとか詠唱騎士の資格はとって、今は騎士の資格を取るべく修行中。
なんとなく卒業し、なんとなく祓魔師になった。
別に仕事に不満があるわけでもないし、他に夢があるわけでもなかった。
でも、こうやって『俺の人生、どうなの』とか考えてしまうのは、若気のいたりなのだろうか。
「れーんぞう」
と俺の顔を黄色い頭がのぞきこんだ。
「金兄やん」
「なにしてん、ぼけーっとして」
「んー、ちょお考え事しとった」
「なにを」
「いや、俺もう二十歳まであと一年もないやん?特に夢もなかったけど、流されるまま祓魔師になってもうたし、俺の人生どうなん、って」
「うっわ、青臭っ!」
「うっさい!なあ、金兄は迷わんの?バンドか仕事か」
「うーん、せやなぁ」
俺が身体を起こすと、金兄は隣に腰を下ろした。
「そら、本気でやっとったら、『メジャーデビュー目指したい』とか思ったりもするけどな。でも祓魔師辞めようとは思ったことあらへん」
「なんで?」
「だって、お父や柔兄みたいになりたいやんか」



着地点を見失った




03/17
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -