金→柔→矛
※うっすらハチクロパロ

「柔兄、柔兄大丈夫か」
うなされる柔造を見ていられなくなった金造は、柔造の肩を揺すった。
柔造はのろのろと瞼を持ち上げると、金造の手に頬を寄せて微笑んだ。
「よかった……こわいゆめ、みてたん……」
金造は肩を撫で下ろした。寝ぼけているのかもしれないが、兄がこんなに素直に自分に心の内を見せるのは、随分久しぶりだったのだ。
しかし、柔造が紡いだ言葉に金造は凍りついた。
「おおきに、たけにい……そばにいて、くれて…」
そして柔造は手のひらの主を見つめ、表情を凍らせた。
金造には、自分の姿を認識した柔造の瞳から、みるみる光が失われていくのがわかった。
ぎしり、と柔造の心が、そして自分自身の心が軋む音が聞こえた。
その音から目をそらすように、金造は柔造の唇に食らい付いた。




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