親世代
【八百造の場合】
いっとう大事なのは、貴方の命や。管に繋がれた私の手を握り、八百造は呻いた。こんな無茶、二度とせんでください。彼は握った手を額に押し付け、顔を埋めた。何を言うとるんや、自分だって松葉杖つきながら最前線で司令出しとったくせに、無茶はお互い様や。力なく笑いながら返したが返事はない。指先に暖かな液体が伝った。泣いているのだ、この男が。生きてください。お願いですから。私はもう何も言えず、もう片方の手で八百造の頭をそっと撫でた。
----------
八百造はきっと泣くよね、と思いまして。


【蟒の場合】
「先に無礼を詫びておきます」
蟒は深々と頭を下げたあと、白い骨ばった手で私の頬を打った。傷も大分回復して、何か甘い物が食べたいと言った私のために、蟒が菓子を買ってきてくれた、筈なのだが。打たれた頬がじんじんと痛むが、心当たりが有りすぎるので何も言えず。
「私が何故怒っとるか分かりますよね」
「………分かっとる」
この男は普段こそ穏やかな人物だが、一度怒らせたら八百造よりも怖いのだ。
「秘密にしとったことは構へんのです。あかんのは、貴方が死ぬ気だった言うことや。門徒や家族を残して、どないするおつもりですか」
「……せやから、正十字騎士團に入ったんや」
「竜士様お一人に明陀を背負わせろと」
「不浄王が消滅したら、明陀の存在価値は無うなるやろ」
「そない簡単な物ではありませんよって」
蟒の鋭い視線が私を射た。
「百五十年続いた組織が、そう簡単に無うなったりは出来ませんわ」
----------
方向性を見失った
達磨を蟒が叱った後一緒にで羊羮を食べる、ほんのりラブを感じさせる二人にしたかったのに、気が付いたらラブの欠片もなく……!
八百造との対比で、蟒さんはきちんと叱るよね、と思って書いていたんですが、ここまできて「でも今回は蟒さん、蝮の一件があるから叱るとか無理じゃん!」と気付いたので打ち切り




12/04
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -