しますぐ
詰め合わせ
幼馴染みは自分を悪魔から守るためにその身を盾にして、額に大きな傷を負いました。今でもはっきり覚えとります、まだ小学校に上がる前のことでした。


額から血をだらだら流して、柔造の腕に抱かれてぐったりとしていた志摩をちらりと見たあと、八百造はそばにいた俺に声をかけたんです。「怪我はありませんか」て。そしてその後に志摩に「ようやった」と言ったんです。
その時、俺は初めて気付きました。ああ、志摩はこういうとき、俺や子猫丸の盾になれと教えられていたのか、と。
一瞬、志摩の顔が歪みました。そしてそのあと、へらっとした笑顔を浮かべて見せました。まるで子役の役者みたいな、年に合わない笑い方でした。俺は心臓を鷲掴みされたような気持ちになりました。
こんなことは口が裂けても言えへんけど、やっぱり思ってしまうんです。俺はあの時、守られたかったわけやない、て。
大人は俺ばかり優先します。親のいない子猫丸のことも大事にします。志摩家の五男坊は、あまり大事にしません。
あれから志摩は、随分投げやりになりました。俺はそんな志摩を見るたびに、辛くなります。志摩をそんな風にしたのは自分だと、わかっています。
誰も志摩を大事にしないから、俺は志摩を大事にしたいです。きっと志摩は俺を嫌っとると思うけど、俺は、志摩が好きです。
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しま←すぐ。
この後同じ調子で廉造が「俺は、坊が嫌いです」ってやつを書こうと思ったけど鬱展開に飽きて放置。やっぱりしますぐには幸せになって欲しいのです。
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「ぼん」
ほら、腕の中に。
「おいで」
両手を広げて微笑んだら、うっすら張っていた涙の膜が決壊して、頬を伝った。
顔をくしゃくしゃにして、頬を伝う涙も拭わず、それでも意地を張って動こうとしない坊に痺れを切らして、俺は坊をぎゅっと抱き締めた。
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BUMP OF CHECKENの「embrace」聴きながら。坊が泣いてるのが好きなんです。で、それを慰める廉造が好き。あれ、しますぐを幸せにしたいなんて言ってた私何処に行った。
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最後にいい思い出作ってとっとと俺の前から消えたろ、そう思っとんのやろ?このあと夜行列車に乗ってどっかの知らん街へ行って、祓魔からも離れて、明陀のことなんか忘れて、ただの志摩廉造として生きてこ、俺のことなんか忘れたる、そう思っとんのやろ?残念やったな、八百造が許しても俺が許さへんぞ。俺の側から離れるんは俺が許さん。志摩は勝呂のもん、お前は俺のもんや。好き勝手は許さへん。座主になっても結婚しても子供ができてもじじいになっても、死ぬまでお前を側から離さへんぞ。

簡単に離れられる思うたら大間違いやで。
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しま(→)←すぐ
23歳くらいで。坊のそばにいるのが辛くなって、ヤったあとひっそり姿を消そうとするけど見つかったしま←すぐ。将来的にしますぐが幸せになるのは難しいような気もするんですが、二人の幸せを廉造が諦めても坊は絶対諦めないと思うんです。ここぞとばかりに職権濫用して、死ぬまで廉造を放さないといい。




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