金造と廉造
「使命に縛られとるけどそれを持っとるお人と、自由で身軽やけど何も持っとらん奴と、どっちが辛いんやろか」
投げやりな口調で、諦めたような表情をして廉造が呟いた。それが辛くて、悲しくて、悔しくて、腹が立ったから、飛び掛かって絞め技をかけた。
「あででででで、金兄痛い痛い痛い!」
「そないなこと言うな」
何も持っとらんなんて、そんな悲しいことを言うな。
「そないに使命が欲しいなら、廉造には金造様の下僕ちゅう使命与えたるわ」
「ははは、いらんて」
誰が進んで金兄のパシリになんぞなるかい。廉造は笑った。
ずっと笑っていてほしい、と柄にもなくそんなことを考えた。




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