ゾロサン
高3の夏休みといえば、部活も終わり、本格的に受験勉強を始める時期である。それはゾロも例外ではなく、今まで竹刀しか握ってこなかった豆だらけの手でシャープペンシルを握りしめ、クーラーの効いた図書館で問題集を前にうんうんと唸る日々を送っていた。
ゾロの高校生活は部活中心に回っていた。朝早く登校して素振り、授業はひたすら昼寝、弁当は休み時間に一回、昼に一回。午後はハ時までみっちり部活、家に帰ったら夕飯をかき込んで少し長めの風呂に入り、早々に寝る。予習復習なんてしたこともなかった。今更悔やんでももう遅い。これから勉強して、果たして一月のセンターに間に合うかどうか。夏休み初っぱなに行われた面談で、担任にも渋い顔をされてしまった。
(あー、くそ。勉強なんてくそ食らえだ)
ノートの上にシャープペンシルを放り投げ、大きく伸びをした。
頭をよぎったのは同じクラスの金髪の少年、サンジ。
(いいよな、あいつは勉強せずに済んで)
サンジは高校に入学した頃からずっと、丘の上の一等地にある料亭『バラティエ』でアルバイトをしている。休み前にそこの親方に「俺を一人前の板前にしてくれ」と頼み込んだら、この夏休みから住み込みで修行を始めるとかで、暫く顔を会わせていなかった。




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