「兄さん、これ」
雪男が差し出してきたのは小さな紙袋。
「なんだよこれ」
「開けてみなよ」
燐がそれを開くと、中には髪留めが入っていた。そう、勝呂が貸してくれたものと、まるっきり同じ。燐は自分の額に留まっているそれを指差して弟に尋ねた。
「おい、これおんなじじゃね?」
「そうだよ、わざわざ同じのを選んだんだから」
「いや、意味わかんねえよ」
「貸して」
雪男は燐の手から買ってきた髪留めを取り上げ、額に留まった勝呂の髪留めと交換する。
「じゃあ、勝呂くんのこれは僕が預かっておくよ」
「いやいやいや意味わかんねーよ」
「だからさ」

他の男から貰ったもの大事に使わないでよ。
雪男が耳元で囁き、燐の頬が赤く染まった。


髪留め




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