※蟒による柔造の処女喪失
えろはない・捏造ばかり
長男名前ちょろっと出てくる
ぶつ切りで終わる
えろはない(大事なことなので2回)
それでも良ければスクロール


















妻に決して言えぬ秘密がある。
俺は彼女の父親に、抱かれたことがあるのだ。それも、何度も。

童貞を捨てるよりも、処女喪失の方が早かった、なんて男はそうはいない。いや、大抵の男は処女なんぞ喪失しないで死ぬ。しかし、俺の育った環境では衆道というのはごく当たり前のことであり、組織の中で上手く渡っていくには、身体を差し出すのは必要なことだったりするわけで。
そんなわけで昔から、明陀の男子は十二になると、一番近しい年長者から、閨で手解きを受ける習わしであった。
俺の相手は本当なら、矛兄になる筈だった。しかし、彼を筆頭に、俺の周りの若い男は皆青い夜で亡くなってしまった。
後継ぎの息子を任せるには、残った若い衆では信用に足らん、それならいっそのこと、自分が一番信用できるこの男に任せよう。
そう考えた父が選んだのは、父と同い年で幼馴染みの、
蟒さんだった。


十二になったその日、俺はお父からその旨を伝えられた。今まで周りの兄様たちが、こっそり抱き合っているのを何度か見たことがあるし、それがどういう行為なのかも知っていたけれど、まさか自分が、しかも半ば無理矢理それを教えられるとは、思ってもいなかった。
「………あ、の、お父。俺は、誰に」
喉が震え、情けない声でお父に問うと、お父は渋い顔をしたあと、「………蟒や」と言った。
「………う、わばみ、さん?」
「せや」
「……ちょお……待ってやお父、せやかて蟒さんは、お父と同い年で、ま、むしの、お父やないか」
「仕方ないんや。ほんまは矛造に任せよう思っとったんや。けど、あいつはもうおらん。今の若い衆は、俺は信用できひん。あいつらにお前を任すことはできん。かと言って、俺がお前を抱くわけにはいかんやろ。……ほんまに辛い思いをさせることになるけんど、これもお役目のひとつや」


頭の中が真っ白になった。


その夜、下の子達が寝静まった頃に、お父が俺を離れの書斎へと連れ出した。俺は緊張でがちがちになっていて、寝間着もいつもの甚平ではなくて着慣れない浴衣で歩きにくく、足がもつれて何度も転びそうになった。
書斎には布団が一組敷かれていて、いつもお父が使っている文机やら座布団やらは綺麗に片付けられており、そのなんだかあからさまな様子が余計俺を緊張させた。
「柔造、ええか」
お父が後ろ手で障子を静かに閉め、俺に問いかける。
全然よくないけど、俺に拒否権はない。首を縦に振った。
「蟒」
お父が襖の向こうに声をかけると、襖がすーっと開いて、蟒さんが現れた。
「………八百造、ほんまに私でええんやな」
蟒さんはお父に問いかけた。お父は黙ってうなずいた。
「ほんなら、柔造は私が預かります」
「頼む」
お父は深々と頭を下げたあと、部屋を出ていってしまった。
「……柔造」
「……う、わば、みさ……俺」
顔をあげられず、浴衣をぎゅっと握った。
「……まあ、そないに焦らんでもええ。座って話でもしようや」
蟒さんは俺の肩をぽんと叩いた。


布団の上に向かい合って座って、世間話をしていれば、俺も大分落ち着いた。蟒さんはそれを感じ取ったのか、話を本題へと向ける。
「矛造が亡くなってもうたからな、柔造、あんたはきっと、辛い思いをすることになる」
蟒さんは大きな手で、俺の頭をそっと撫でた。
「僧正家の当主は大変やで。若い頃なんて特にな。私や八百造やって、身体を売って、この立場を買うた様なもんや。今まで優しかった周りの大人に酷く抱かれることもあれば、初対面の男に身体を差し出さなならんこともある。それも、大抵そういう約束を取り付けてくるのは、………あんたの父上や」
喉の奥がひきつった。矛兄が死んで、お父にお前が後継ぎや、気張り、と言われてから、何とか矛兄の代わりになれる様にと、色々必死に頑張ってきたつもりだった。力をつければ、周りの大人も、きっと自分を認めてくれる。お父の様な、立派な当主になれる、そう信じて、今日まで。
それなのにこの仕打ちは何だ。身体を売って上り詰めるってどういうことだ。俺が、今までしてきたことは何だったのだ。
そう考えて、ふと、ひとつ下の女の子の姿が頭をよぎった。そうだ、宝生の次の後継ぎは、女ではないか。
「………蟒さん、僧正が、皆そうするて、いうのなら、じゃあ、じゃあ」
俺は今度こそ泣きそうになりながら、蟒さんにすがって聞いた。
「……安心せい、蝮は、身体を売ったりはせえへんよ。私が絶対にさせへん」
蟒さんは柔らかく微笑んだ。ほっとした俺の目尻から、つうっと涙が滑り落ちる。
「あの子の心配してくれるんやな。おおきに」
その涙を蟒さんがすくい取った。
「あの子を女に生んでやれて、ほんまに良かった……こないな思いをするのは、私だけで十分やから」
やから、柔造、堪忍な。
俺は小さく頭を振った。
「……ええんです、しゃあないから、後継ぐのに必要なことは全部やらんと、俺は、矛兄の代わりにならんといかんから、だから」
だから、蟒さん。
「俺のこと、大人にしたって」


蟒さんの手が俺の浴衣の帯をほどく。俺は静かに目を閉じた。





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