祓魔師なんて職業柄、規則的な生活を送るのは難しい。十代の頃は多少夜更かししたってへっちゃらだったのに、24にもなれば不規則な生活は諸に肌に響いてきて、次第に肌は荒れ、中々治らないにきびがぽつり、ぽつり。おまけにここ数日の寝不足のお陰で目の下にはひどい隈が出来ていた。
(………ひどい顔やな)
ふう、と溜め息をついてもにきびや隈が消えるわけではなく。
(……見られたないなあ)
特に、あの申には。


しかし、会いたくないと思っているときに限って、ばったり出くわしてしまうわけで。
「お」
「………う」
出張所の廊下でばったり柔造に出くわしてしまった。
「なんや久し振りやな、最近忙しくて敵わんわ」
「……せやな」
前が向けずに、俯いたまま返事をした。
(お願いや、見んといて)
「何や下向いて、どないしたん?具合でも悪いんか?」
「いや、少し腹が痛うて」
「ああ、女の子の日か?大変やな、毎月毎月」
「!?ちゃうわこのスケベ!」
思わず顔を上げてしまい、ばっちり柔造と目があってしまう。
「わ、お前ひっどい顔しとるで」
予想はしていた。でも疲れて神経質になっているのか、その言葉は思ったよりも深く私の胸に突き刺さった。
「………知っとる、わ」
「……蝮?どないしたん、ちょい待ちや」
踵を返して歩き出そうとしたが、柔造に腕を掴まれる。
「言われなくても知っとるわ、どうせ私はブスやわ……」
口に出せば悲しくて、涙が止まらなくなって。
「…ふっ…う…この、阿呆……」
「なっ、蝮!?ちゃうでそない意味やないで」
「せやかてあんたよく言うやんか……ヘビ顔のドブスて……」
「あれはお前が申申言うから、返し言葉というか」
「本当はそう思っとるんやろぉ……」
「あーもう泣くなや!」
腕を引き寄せられて私はすっぽり柔造の腕の中に収まる。
「………可愛ええよ」
頭の上から降ってきた声に驚いて顔をあげる。
柔造の頬は少し赤かった。
「……ほんまに?」
「……ほんまや」
「……もっかい」
「は?」
「もっかい言うてや」
「なんや調子に乗りよって!もう言わん!」
「ええやんか減るもんやないし」
「………」
「なあ、じゅう」
言葉は最後まで紡げず、柔造が呑み込んでしまった。こんな風にキスするの、いつ振りだろうか。暫く唇を重ねていると、何だろう、腹の辺りになにか固いものが当たる感触がした。
「………やべ、勃った」
「………はあ?」
「しゃあない、ヤるぞ」
「はあ!?今何時やと思ってるん、阿呆か!」
「ええやん、暫くご無沙汰やったし、お前生理やないんやろ?なら決まりや、ヤるぞ」
「なに言うてるんや、私は仕事せんと……ひゃ、っ」
ええやんか、肌荒れも治るで?なんて首筋を舐めながら言われたらもうどうしようもなくて、抵抗するのをやめれば、柔造はええ子や、と言って私の頭を撫でた。






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