志摩と勝呂

何や、頭痛いなあ。
こういうんは自覚した途端に酷くなるもんで、俺の頭はずきずき、ずきずきと鈍く痛み出した。
「志摩、お前どうしたん」
坊が心配そうに俺の顔を覗き込む。
「いや、何や、頭が痛うて」
「珍しなあ、お前が頭痛なんて」
「そりゃ俺かて、頭痛のひとつやふたつ……あでで」
「しゃーないな、これでも飲んどき」
渡されたのは小さなアルミの袋。
「俺がいつも飲んどるやつ。よう効くぞ」
「ぼ、ぼぉぉぉおん!あでで」
感極まって坊に抱きつこうとしたんやけど、やっぱり頭が痛うて仕方ない。
「アホなことしとる暇があったらさっさと飲まんかい」
「おん」
水筒のお茶でおっきくて苦い粒をみっつ、ごくりと飲み込んだ。



志摩と子猫丸

坊の薬は夕方になったら効き目が切れてしもて、寮に戻った途端にまた頭がずきずきと痛み出した。
「痛いわあ……頭が痛いわあ……ううう」
「あれ志摩さん、また頭が痛いんですか」
「おん、子猫さん、どないしよ」
「んー……あったかいお風呂に浸かったらええんちゃうかな、多分」
たまには長風呂もええもんやよ、試してみたら?と、子猫さんがお風呂にあったかいお湯を張ってくれた。ついでにおすすめの柚子の匂いの入浴剤も。
「おおきに、子猫さん」
「ええよ、こんなん。でも志摩さん、それ持ってお風呂に入るつもりなん?」
「おん、長風呂するなら、何か持ってった方がええやろ」
「せやかて、エロ本は……ないんちゃうかな」
僕、志摩さんの後にお風呂入りたくないわあ、と顔をしかめられてしもたので、エロ本はやめて奥村くんから借りた(奥村先生の)マンガにしておいた。湿気でふにゃふにゃになってしもてあとで奥村くんに拳骨食らったんは、また別の話や。




08/22
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