お盆休みである。
外では蝉がけたたましく鳴いている。京都の夏は暑い。昼寝で汗をかいた廉造はシャワーを浴び、扇風機の前でアイスでも食おうと、口にゴリゴリ君をくわえて自室の襖を開けた。


開けて、驚いた。


昼寝のあとそのまま放ったらかしにしておいた布団の上で、勝呂が丸まって寝息をたてていた。
(ぼぼぼ、坊!?何で俺の布団で坊が寝てはるのや!!)
廉造の脳内はパニックである。いや、むしろカーニバルである。
(いやこれはチャンスや…!いつもあれだけガードの固い坊がこれだけ無防備な姿晒しとんのや、しかも柔兄、金兄もおとんも出張所に行っとって当分帰って来ん!エロの女神さんが俺に微笑んどる…!)
今はアイスなんぞ食っている場合ではない。廉造は網戸を開け、窓からくわえていたアイスを投げ捨てた。
そうして、勝呂の枕元に腰を下ろす。
いつも持ち上げている前髪は下ろされており、ぎゅっと抱いた布団に埋められた顔を覗き込めば、暑さのせいか、少し頬は赤らみ、汗が首筋を伝っている。
(あかん、辛抱堪らんわ)
廉造がずくりと下肢に疼きを感じると。
「ん……し、ま…?」
勝呂がうっすらと目を開けた。

「っ、坊……」
廉造が手を伸ばした、その時。

「待ちや廉造――!!」
襖をすぱこーんと開けて、どかどかと入ってきたのは、職務中である筈の柔造と金造である。
「んなっ、柔兄、金兄!?仕事はどうしたん」
「そんなもんはどうでもええ、抜け駆けは許さへんぞ廉造!お前今坊に手ェ出そうとしてはったやろ!」
「ちゃうで柔兄、誤解や!」
「言い訳はええ、それより廉造、なんでエロい坊の寝顔を写メで送ってくれへんのや!仕事中の俺らを労る気持ちはあらへんのか!」
「そや!俺らだって坊のエロい寝顔を見たいのやで!独り占めすんなや」

「お前らちょお黙れや」

「「「すんません」」」


お盆と坊と阿呆兄弟




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