「シカマルー!」
「うぉっ!?」
「誕生日おめでとう!」
「ばっ、やめろ…っ!」


ぐぅ とシカマルの呻きが腹の下から聞こえた。1階部分の屋根を伝って窓からシカマルの部屋に進入、窓からシカマルが寝転ぶベッドへダイブ。そして今に至る。

わたしの腹の下で動かなくなったシカマルに声を掛けたら、急に勢いよく飛び起きるものだからわたしはベッドの下に転げ落ちた。


「いたっ、何すんの!」
「それはこっちの台詞だ!」


殺す気か。とシカマルは腹をさする。のそのそとベッドによじ登り、そんなんじゃ忍なんか務まらないゾって言ったら頭をはたかれた。


「ったく、何しに来たんだよ」
「一番におめでとう言いたくて」
「だからってこんな時間に…」


と、そこまで言うとシカマルはわたしから目を逸らした。飛び込んだ時間はジャスト日付が変わる瞬間。電気がついていたからまだ平気って思ってたけど。


「もう寝ようとしてた?」
「いや…」
「?」
「いい、何でもねぇ」


心なしか少し照れているように見えるのはわたしの都合のいい解釈のせいだろうか。


「次からノックぐらいしろよ」
「何だそれ、女子か」
「返事」
「はーい」


だけど「来るな」とは言わないシカマルが嬉しい。もう一度改めて誕生日おめでとうと伝えれば、おうとシカマルらしい短い返事が返ってきた。






(友達とは違う特別な距離間)