「シカマル大きくなったよね」
「そりゃあな」
「少し前まではわたしよりチビだったのに」
「だいぶ前の間違いだっつーの」


そんなくだらない言い合いが心地いい。シカマルはベッドの上で胡座をかき、それに向かい合う形でわたしが座りクッションを抱き締めて顎を乗せている。


「何か、時間が経つのって早いね」
「何だよ急に」
「一緒に誕生日祝うの何回目かな」
「…さぁな、覚えてねぇ」


少し考えてからシカマルはそう答えた。何歳のころからこうしているのか実は私も覚えてない。ただ、小さな時からずっとシカマルの誕生日はわたしが一番に祝うと決めて今年も無事にそれを果たすことが出来た。


「そういえば、覚えてる?」


昔、おっきくなったら結婚しようって約束したの。結婚の意味なんか大して知りもしないでマセたガキだったよね。


「あぁ」
「あと、あれ!」


ウサギ追い掛けてうっかり立ち入り禁止の森に入って2人してシカマルのお母さんにゲンコツもらったよね。その後は抱き締めてくれたけど。


「そうだっけか」
「覚えてないの?」
「お前が釣り堀に落ちたのは覚えてる」


一旦驚いて逃げた魚がお前に慣れて戻ってきた時のあの顔は忘れねぇ…くくっ。


「そんなことあった?」
「あったあった」


思い出したらきりがなくて、思ったよりたくさんの時間を共有してて、仲が良い時も喧嘩した日もあった。何回も春を夏を秋を冬を過ごしてきてた。それらの時間が今のわたし達を形成しているのだと思うとどうしようもなく愛しいと思った。






(君と過ごした鮮やかな時間)