今朝のこともありビクビクしながらお昼を待っていたわたしだけど、ペンギンさんが持ってきてくれたのはとても美味しい普通のおかゆ。額に乗ってるタオルも新しいものに取り替えてくれた。おそるおそる今朝の事を謝ってみるとまだ気にしてたのかと驚かれてしまい、別になんとも思ってないと頭を撫でられた。

 そんなこんなで安心したのとお腹がいっぱいになったところで突然の睡魔に見舞われ、あっけなく眠りに落ちたわたし。目が覚めた時には外は薄暗く、島へ行ったみんなが帰ってきたのか船内はがやがやと賑やかだった。

「ナナー、大丈夫?」
「えっ!?はっ、うわぁ!!」

 ぼーっと天井を見上げていたわたしの前に突如現れた白い影。その正体は両手にたくさん紙袋をぶらさげたベポだった。思わぬ見舞いに慌てて布団に潜ると「脅かしてすみません…」とどんよりした声が聞こえた。
 もちろんびっくりはしたけど、そうじゃなくて今のわたしは髪もぼさぼさだし、たくさん汗をかいたので鼻のいいベポに汗臭さを感じ取られるのが嫌だったわけで…そう、乙女心!!!

「ご、ごめんねベポ!風邪うつしちゃうといけないから……!」
「あ、そっか!ナナは優しいねー」
「!」

 うわ、うわ、うわぁぁあ!!今!わたし!頭撫でられてる…!!布団越しだけど!!!なにこれ体温上がっちゃうよおおお!!!!
 という心の叫びを必死に抑え込み小刻みに震えていると、何かを思い出したらしく「あ、そうだ!」の声と共に大きな手は離れていった。

「ナナ用の着替え買ってきたんだ」
「えっ、うそ…ありがとう!」
「ペンギンがいっぱい汗かくだろうからって」
「あ、そうなんだ…ペンギンさんにもお礼言わないとだね」

 あぁ、ペンギンさんは本当に面倒見がいい。シャチとの件といい、看病の件といいペンギンさんにはお世話になってばかりだ。わたしにも何か出来ることがあればいいんだけど…。

「じゃあおれ行くね」
「あ、うん!」

 ブーツが床を鳴らす音が少しずつ遠のいていく。
 
「……ベポ、」

 今更かもしれないけどやっぱり始終布団の中に潜っての会話だけでは失礼かと思い、迷いながらもぞもぞと顔だけを出す。ボサボサの髪が出ないように、汗臭さが漏れ出さないように、最新の注意を払って顔面だけを。
 既にわたしに背中を向けていたベポが振り返る。なぁに?と小首を傾げる姿がかわいらしい。

「ありがとね…」

 なんか改まると恥ずかしいな。思わず一旦目を逸らして、もう一度ちらりと彼の顔を見やる。ちょっと上目遣いとかしてみちゃったりして。

「ふふっ、ナナかわいー」
「えっ」

 おわぁああぁあ!!!かわいい!?!?かわいい!?!?わたしが!?!?やだ、上目遣い効果的面!!もう、ベポったらまた体温上がっちゃ――

「ミノムシみたいっ」
「…………」


 ですよね!!!


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