長い冷戦を経てめでたくシャチと和解した翌日、わたしとシャチは2人揃って医務室のベッドに横たわっていた。

「お前のせいだかんな……ズビッ…」
「違う。シャチのせい…ゴホッゴホッ」
「検温中だ、静かにしろ」

 ぺしんと二人分の額をはたいたペンギンさんは心底呆れたような声で言う。

「まったく、お前らのせいでおれまで今日の上陸はおあずけだ」
「面目ない…」
「すみません…」
「そう思うなら大人しく寝てとっとと治す事」
「「はい」」

 ぽんぽんと今度は優しく頭に置かれた手に少し昨日のはしゃぎすぎた自分を反省した。シャチは「おれまでガキ扱いすんな」と怒っていたけど。

「ほら、二人共しっかり布団かぶって目閉じてろ。昼には何か食えそうなもの持ってきてやるから、それまでは寝とくこと」
「はーい」
「ナナもわかったか」
「はい」
「よし。水はここに置いておくから水分補給は自分たちでな。タオルと着替えも置いとく。他に何かあったら子電伝虫で呼んでくれ」

 前にも思ったけどペンギンさんは面倒見がいい。多少の小言は言うものの最後にはいつも優しい言葉をかけてくれる。
 なんていうか、ペンギンさんって……

「お母さんみたい…」
「……は…?」

 ドアノブに手をかけたままぽかんと口を開けてこっちを見ているペンギンさん。
 
「ぶふっ!お母さんってお前、」
「え?わたし変なこと言った??」
「おい、ちょ無自覚とかヤメ…ゲホッゴホッ!」
「え?え!?」

 笑いすぎでシャチが咽る。わけがわからずドアの前のペンギンさんに視線で助けを求めてみたが返ってきたのは救いとは真逆の言葉で。

「お前ら、昼飯覚悟しとけよ」

 ぱたん。わたしは、静かに閉まるドアを見つめてそして頭を抱えるのだった。


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