薄暗い部屋の窓の外では細い雨がしとしとと地面を濡らしている。ベッドが面してい壁の窓を伝う雨の流れを指で辿っていると、くいと緩く服の裾を引っ張られた。


「何?」

「あめ…?」


いかにも眠いですといった表情で布団に半分顔が隠れたままのシカマルが問いかけてきた。そんな姿が堪らなく愛しくて思わず顔が緩む。


「うん」

「…そっか」


再び閉じられた目を見て自分ももう一度布団に潜り込む。するともぞもぞと動き出したシカマルの手によっていいように抱き枕にされてしまった。心地よい暖かさに全身を包まれ幸せだなーなんてしみじみ思う。そっとシカマルの胸に顔を寄せると髪にキスが降ってきた。


「いいにおいがする…」


そのまま顔を埋めて喋る、寝起き特有の少し掠れた声が頭に直接響くようで擽ったい。少し顔をあげて顎にキスを送る。いつも眉間に刻まれているシワは無く、いつも鋭い双眸は閉じられ、薄く開かれた唇が色っぽい。
こんな無防備な寝顔を晒すのは私の前だけにして欲しいと、そう願うのはおかしなことだろうか。

そんなことを考えていると視線に気付いたのかゆっくりとシカマルが目を開く。


「どうした?」

「見とれてた」

「…ばーか、」


くしゃっと私の髪を掻き乱し、再び腕の中に閉じ込められるとさっきよりも強く抱きしめられた。


「シカ…?」

「煽ってんじゃねーよ」


ぎゅうっと緩められることのない腕の力がシカマルの高ぶりを示しているようで、私の熱も徐々に疼き出す。

雨音が部屋の静けさを際だたせる中、まるで世界から切り取られたかのような今の空間が更に2人を煽る。


「ナナ…」


寝起きとは違う声の掠れ方にぞくり背筋が震えて、それだけで溶けてしまいそうだ。シカマルの腕の中で彼を見上げれば優しいキスで唇を塞がれる。そっと触れるだけのキスなのに口端からは声が漏れ出た。


「…っ、もう無理……」


苦しそうな顔でそう呟くと後頭部を固定され、優しかったキスは噛みつくようなソレへと変わる。そしてそんなシカマルに刺激されてどくどくと脈打つ鼓動はこれからの行為を待ちわびているようで。地面を濡らす雨音が強くなったことにも気付かずただただシカマルに溺れた。





Rainy day







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