「キバー!」

「おー、ナナ――…」


赤丸との散歩中、自分を呼ぶ聞き慣れた声に胸を躍らせる。しかし振り返って目に入ったのは、手を振りながらこっちに向かって歩いてくるナナと、その横をダルそうに歩く…オトコ。


「…何でお前までいんだよ」

「悪かったな」

「シカマルと任務だったの。ついさっき里について、今報告終えてきたトコ」

「…ふ―ん」


報告まで終わってんなら仲良く一緒に帰る必要ねーじゃん。些細な事だけどどうにもそれが気に食わなくて2人から目を逸らし赤丸の頭を撫でる。そんな俺を見て先に口を開いたのはシカマルだった。


「…お前、わかりやすすぎ」

「うるせー」


ガキかよ、と喉を鳴らして笑うシカマルはどこか大人びていて何だか悔しい。その横でナナは何が?何が?とか言いながら俺とシカマルを交互に見て首を傾げている。


「お前は鈍すぎ」

「?、??」

「ほらよ」


シカマルにとんと背中を押されたナナが2、3歩よろけて俺の胸にぶつかった。


「これ以上睨まれんのもめんどくせぇし、返すわ」

「貸した覚えもやった覚えも無ぇよ!」


そのままナナを腕に閉じこめ、べ と舌を出す。腕の中から慌てたような声が聞こえたけど無視した。


「程々にしとけよ」

「余計なお世話だ」

「キバ、離して…!」

「無理」


ぎゅうっと腕に力をこめれば小さな呻き声。付き合いきれねぇな、シカマルが呆れたように笑う。


「んじゃ帰るわ、お疲れサン」

「おう、お疲れ!」


シカマルが完全に見えなくなったのを確認してナナを解放した。解放した途端真っ赤な顔をしたナナに頭をはたかれる。


「ばか!」

「いてッ!」

「恥ずかしいから人前でああいうことしないでよ!」

「あー、わりぃわりぃ」


適当に流してナナの頭をぐしゃぐしゃかき回す。思ってないでしょ!やめろ!バカキバ!と喚くナナが可愛くて笑えた。


「でもよ、お前が悪いんだぜ?」

「何でよ」

「シカマルなんかと仲良くしてっから」


そう言えばナナはぽかんと口を開けたまま固まってしまった。……かと思えば今度はぶんぶん手を振って違う違うと慌てた素振りを見せる。忙しいヤツ。


「シカマルとは任務が一緒だっただけで…!報告も済んだしそのまま帰ろうと…ほら、家の方向一緒だし…っ」

「何必死になってんだよ」

「…だってキバに変な誤解されたくないから」


眉をハの字に下げた情けなくて今にも泣き出してしまいそうな顔。そんな顔で訴えるように俺の服を掴むナナ。


「………、」


思わず息を呑んだ。こんな時に不謹慎だとは思うけど、心底そう思うけど、何つーか……すげぇソソられる。誤解なんてしてねェよって、ただのくだらない嫉妬なんだって、本当はすぐにでも教えてやるべきなんだろうけど。


「どうだかな。必死になるところが逆に怪しいっつぅか」

「…ッ、」


それが出来なかったのはやっぱりまだ俺が余裕の持てないガキだから?やきもち妬かされた仕返し?純粋な加虐心?心内では性格悪ィなんて自嘲しながらナナを見つめた。


「…じゃあ、どうしたら……」


……あ、泣きそう。少し赤くなった目、表面に溜まった涙が揺れている。


「…キバ、」

「―――…だよ…」

「え…?」

「嘘!何も疑ってねぇって!」


何だかんだ言って結局虐め抜く度胸もなくて大袈裟に声を上げて、ナナ顔を見ることも出来ず誤魔化すように強く抱きしめた。


「ただの嫉妬!」






未熟でごめん。でも、
どうしようも無いくらい好きなんだ




「……ごめん、ね」

「何でナナが謝んだよ」

「罪な女で、ごめん…」

「…ぶはっ!ばーか、何だソレ」








* * *

メイ様、大変大っ変お待たせいたしました!本当不甲斐ない管理人ですみませ…!シカマルに嫉妬するキバ…ご希望に添えましたでしょうか…?

メイ様、企画参加ありがとうございました!
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