*八田の続き/草薙視点/十束さん健在



名前を保護してから早数ヶ月。最初八田ちゃんが連れて来たときはびっくりしたものの、いい子やったし、十束や俺の提案でBAR HOMURAに名前が住み始めたのは記憶に新しい。吠舞羅には所属してへんけど。八田ちゃんの家って案もあったが、八田ちゃんが襲うかもしれないので丁重に却下させて頂いた。あの子が名前を見る目はあんまりよろしくないモンやった。女の子には草食系なのに男の子にはガッツリ肉食系とか、最近の子は怖いわあ。アンナや尊とも上手くやっているようやし、伏見とも接触はないらしいし、非常に平和な日常を送っている。

「草薙さん!」

「…八田ちゃん、また名前か?」

「アイツ危機感無さ過ぎるんすよ!いつもいつもナンパされやがって!男なのに!」

これさえなければ、だ。名前は可愛らしいし、あの八田ちゃんにあんな目をさせるくらいには魅力もある。変態くさいが、高校生で涙目が似合い小さめな男子っていうんは、男にも(腐)女子にもウケがいいんやないやろか。ちなみに今回のナンパ男はチャラ系のイケメンだったそうで。まじか。

「八田さん、僕、女の子に見えるんでしょうか…」

「………」

「…八田さんっ!」

おーおー困っとる困っとる。まあ八田ちゃんが黙るのも分からないことはない。確かに名前の私服は(アンナと尊の趣味で)割と可愛らしいものが多い。ぱっと見ボーイッシュな女の子に見えるやつ。最近は華奢すぎて服に困ったために女性ものの服も着るようになった。そういえば一度、アンナの服(成長した時のために買っておいた大きめのサイズのやつやったけど)を着せてみたらえらい似合って、十束が写真を取りまくっていた。あの時の名前は確かに可愛らしかったけども、それより十束と八田ちゃんのギラついた目から名前を守ることに忙しかった気がする。自分で言うんもアレやけど、苦労しとるわ、俺…。

「草薙さんはっ!僕のことどう思いますかっ!」

「…へ?」

「僕、女の子みたいですか?直した方が、」

「えー、あー、うーん…俺は今のままでええと思うけどな?ほら、似合っとるし、俺は今のまんまの名前が好きやし」

「…草薙さん…っ!」

当たり障りのないように答えると、名前がやたらキラキラした目でこっちを見てきた。そのままカウンター越しにぎゅっと抱きつかれる。…八田ちゃんが初めて名前に会った時の話を思い出した。なるほどこれは変な気起こしそうになるわ。

「草薙さん、一生ついていきます!」

「…おう…?」

なんや違う気がするけど、まあええか。しかし、ええ匂いというか、なんや、

「…ナンパ男の気持ちも分からんでもないわあ」

俺が漏らした言葉に八田ちゃんがカウンターをダン、と叩いたので名前に見られないように睨んでやった。後でお説教やな。名前は不思議そうに首を傾げて八田ちゃんや俺を見ていたが、最終的に俺の腕の中に落ち着いたのでまあええ。

今日の吠舞羅も平和で何より!



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