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レッドが倒れた、と誰かが叫んだ。担任が叫んだのかレッドの近くにいたクラスメイトが叫んだのか判らなかったけどレッドという名前とあまりに大きな声のおかげで授業中にありがちな睡魔が飛ぶ。机に肘をついたまま頬を両手で思い切り打っ叩くと先程の叫びと同じくらいの大きな音を立てて周りの視線を集めることとなったがこれで完璧に目が覚めた。予想してたより強く叩いちゃったのには俺自身驚いたけれど。頬が赤くなっているだろうことを思いながら急いで席を立つとレッドの周りを囲むようにして集まっていたクラスメイトは笑えるほど見事に左右に退く。偉い人になった気分だと場違いなことを考えて床に倒れたレッドを抱いて起こすと意識はあったらしいレッドは伏せた目を僅かに開いて苦しそうな溜め息を洩らした。病的に白い肌には朱がさして生気を取り戻したかのように見えるがこれはレッドにおいて異常なことだ。担任も近付いてレッドの額に手を当てる。熱がないか確認しているんだろうが俺はそれが無駄な行為だと解っていた。熱はないようだ、と先生は呟く。んなわけあるか、と俺は一人ごちた。レッドは元々体温が低い。だから一般人の平均体温でさえもレッドにとっては高熱と成り得る。レッドの汗ばんだ額に纏わりついた前髪をよけて、そのまま手を当てると俺と同じくらいの温度を感じた。クラスメイトが心配する声を聞きながら担任に向かって熱、と一言だけ言うと驚いた顔をして俺に熱?と問うたが面倒なことになりそうで保健室連れていきますとだけ言ってレッドを抱きあげる。お姫様だっこみたいな可愛らしいもんじゃなくて抱きついてもらう形で抱えたが、本音を言うとお姫様だっこの方が抱えやすい。レッドなら嫌がるだろうから仕方がないけれど。レッドの息が荒い。「大丈夫か」声を掛ける。「…ん」苦しそうな声が辛うじて聞き取ることが出来た。廊下に出て背後に突き刺さっていた視線から解放されると何故か俺も溜め息を吐きたくなる。クラスメイトの好奇の視線ほど重苦しい且つ、不快なものはない。ふと、背中に回していたレッドの手に力が入った。ぎゅう、とカッターシャツを握りしめられるのを感じて足を止める。すると今度は力がなくなり、数秒前の状態に戻った。レッドに聞こえない程度に溜め息を吐く。シャツに皺がつくのはなるべく避けたかった。

「先生、レッドが熱…あれ。いねえの?」

こんな大変な時に何してんだと言いたくなったが今朝、担任が保健室の先生は休みだと言っていたような気がする。その証拠にレッドが辛そうに今日は休みだと呟いた。休みなのに施錠していないのは万が一のためなんだろうか。そんなことしたら嘘吐いて保健室に休みにくる人もいると思うんだが。別に関係ないけれど、と付け足したところで保健室に踏み込み、レッドをソファーに座らせる。それから引き出しを漁って体温計を見つけた。

「ん。測れる?ふらふらしてるけど」
「…だいじょ、ぶ」

レッドに手渡すと少し震える手で体温計を持った。頬には朱がさしているし目は虚ろ、しかも手も足もがくがくと震えているおかげで高熱だと推測するのは容易い。今にも倒れそうなレッドを深くソファーに座り直すよう促して、俺は保険医がいつも座っている椅子に腰を下ろした。



続き思いつかん。完成させたらテキストの方にあげなおします



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