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女の子


女の子と言えばやっぱり胸とお尻よね」
「直球すぎだろ!それでも女子かよ!」

実際にそうだから言ったのに森山は頭を抱えている。…ていうか流石の私も私を女の子として見てくれてる森山にはびっくりだよ。
ただ、女子全員に夢見すぎだと思うけど。

「もちろん、足も好きよ。この間エスカレーターに乗ってたとき、好みの足の子が前にいて超興奮したもん」
「可愛らしく言うな!ただの変態の感想じゃねぇか!」
「え?じゃあ、森山は見ないの?」
「……見る」
「でしょ?」

あー…それにしても良かったな。太くも細くもなくて少し筋肉が付いてるのに白い足。
あれは室内競技をやってる子の足だわ。ただ、筋肉の付き方から考えてバスケとかバレーじゃないから卓球辺りかしら。それにしてもたまらなかったな。連絡先交換しとけば良かった。

「名字、お前女友達いんの?」
「いるよ。作っとかなきゃ勿体ないじゃん」
「は?何が?」
「今はしがない学生だから水着までしか見れないけど大人になれば旅行とか温泉とかで裸の付き合いが…」
「なんだそれ!女子羨ましい!」
「ハッハッハ!崇め奉りなさい!」

森山には一生掛かっても出来ないことだもんね!
ニヤニヤしながらドヤ顔すると悔しそうに地団駄を踏む。良いリアクションすぎて思わず噴き出しそうになった。

「ずるいぞ!女子は更衣室で着替え見放題なのに!」
「いやいや、女子しかいなくても女子はガード堅いから。水泳の日なんて水着着てくる子の多さ!トイレ大変でしょうに!」
「確かに!そういうときはどうすんだ!?」
「私は面倒だから着ていかないし、わかんないな。やっぱり一旦制服脱いでから水着脱ぐんじゃない?」
「エ…エロいな…」
「エロのレベル低ッ!」

制服の下の水着脱ぐだけでエロいとか中学生か!どの部分に興奮するのよ!?

「なんだよ!レベル低いって!」
「事実でしょ!どこにエロを感じたの!?」
「制服の下の水着を脱ぐ」
「やっぱりレベル低い」

ここまでレベルが低いと少し哀れになる。
残念なイケメンはエロのレベルも残念なのね。なんだかとっても可哀想。

「名字、よく考えてみろって!下に水着着てるってことは下着を着てないわけだろ!?」
「そりゃあね」
「つまり、その……」
「そこで照れる?するときに裸になるって言いたいんだよね?確かに学校のトイレで制服脱いで水着を胸どころか足まで下ろして屈んだところを想像したらエロいとは思うけど、森山はそこまで考えてないでしょ?」
「……今のが女子の発言とは俄に信じがたい」

急に喋り方が変わった森山にキャラをしっかり保つように言おうかと思ったが、最早彼にはキャラを気にする余裕などなさそうだったので黙っておいた。

「……ていうかずっと思ってたけど森山って女の子と付き合ったことないよね」
「な…んで!」
「わかるよ、普通に。具体性ゼロだし」
「ぐ…具体性ゼロ…」

具体性ゼロという言葉には流石の森山も傷付いたらしい。その場でいじけている。めんどくさい。

「別にいいじゃん。まだ高校生なんだし」
「春から大学生だぞ」
「大学デビューでもいいと思うよ?」
「……」

不服なのかムッとした顔で黙り込む。そんなにだめなのかな、大学デビュー。
確かにあんなに魅力的な生き物に今すぐ触れないのかと思うとさっきよりも憐れみを感じる。

「なあ、名字」
「なに?」
「……俺のどこが悪い?」
「下ネタに具体性がないところ」
「それ、お前ぐらいだろ!大体、直しようがない!」

どうしたらいいんだと唸る森山にこっちがどうしたらいいんだと言いたい。
正直、海常で彼女を作るのは無理だと思う。何せ今年はあの黄瀬がいるし。大半の女子は黄瀬に心奪われてるもんね。どうしたものか。

……あ、そうだ。

「森山さー、私とデートしてみる?」
「は?……は!?」
「なんで森山がモテないのか私が見極めるわ」
「ストレートに酷いこと言うなよ!」

でも…お願いしますと頭を下げる森山を見て覚悟を決めた。
こうなったら女の子が森山に惚れるようにエスコートプランをしっかり立ててやる。

そして、森山にもっと女の子の素晴らしさをわかってもらわねば!


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