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業務用スーパー


学校まで行く道のり、通学路には、業務用スーパーがある。
ある日、部活の帰りにそのスーパーの前を通ると、うちの高校の制服を着た生徒がそこから出てきた。


「…あれ、名字?」


そこにいたのは、確かにクラスメイトの名字名前だった。なんでこんなところに?何か用でもあったのだろうか。


『ん、高尾くん!』


俺に気付いたらしい名字は、此方に近付いてきた。ビニール袋を手にしているから、何か買ったのはたしかだ。


「業務用スーパーなんかで、何してたの?」

『え?ああ、アイス買ってたんだよー』


高尾くんも食べる?と言って、袋の中からアイスを一つ出す名字。いやいやいや、なんで業務用スーパーでアイスよ。


『業務用スーパー、アイスも安いんだよー』


アイスの入った袋を開けて食べ始めた名字は、いつもの間延びした話し方でそう言う。


『なんとこのアイスは、60円なのです!』


自慢気に胸を張ってそう言った名字に、俺は呆れながらこう言った。


「そっか。それと、袋に入ったアイス早くしないと溶けるぜ」


そう言えば名字は、悲鳴をあげながら走って帰っていった。去り際に「高尾くんまた明日ね!」と挨拶も忘れずに。





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