glow
12
「あー寝ーれーなーいー!」

ガバっと夏布団を取って大の字になると、目を開け真っ暗な天井を見上げた。

いつもと変わらない天井。
でも。

足りない。

再び布団を被って無理やり目を閉じると、ドアが開く音がした。
それはやや小さな音で、遠慮がちに開いたようだ。

まさか。

と、智希は勢い良く起き上がりドアを見る。そこには人影が見えた。

「わっ、びっくりした…起きてたのか」

「父さん!」

「しーっ」

有志だ。

音に気を使いながらドアを閉めると、暗闇だというのに慣れた足取りでベッドにやってきた。

「ベッド、いれて?」

「っ……!!」

あまり顔は見えなかったが、小声で聞こえた有志の言葉に智希は発狂しそうになった。

落ち着け。
落ち着け俺。

ふぅ、と深呼吸し、布団を広げ手招きした。

「はい、どうぞ」

「おじゃまします」

落ち着け。
落ち着け俺。

今すぐにでも有志を押し倒しそうになる衝動を必死に抑え、定位置、智希の胸の中に有志が入ってきた。
すっぽりと、まるでその型を取ったかのように智希の胸の中に収まる。

「…将太は?」

「寝たよ。やっぱ子供だね、布団に入ったらすぐ寝た」

父さんの吐息。
父さんの匂い。

なんでこんなに…。

「…あぁ…安心する」

安心する。
そう先に言葉に出したのは有志だった。

ぎゅっと智希に手を回し、胸に顔を埋める。
何度も頬を擦り寄せて、まるで子猫のように甘える父親。

智希も、それに答えぎゅっと抱きしめ返す。
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