第2章
06
「喧嘩したのか」

「………」

首を振る。

「大好きなお父さんに再婚相手ができたとか」

「………」

首を振る。
再婚相手とか考えただけで吐き気がする。

「じゃあ何があったんだよ」

「………」

何も言わず動きが止まる。

「言えない?」

「………」

首を縦に一度だけ振った。

「そっか。まぁ言ってもらえないのは少し寂しいけど、死にたいって思う前に一度思い切って相談しろよ」

「………ん、ありがと」

篭りながらも小さい声で感謝した。
その言葉を聞き取った真藤はニコリと笑い、席を立って自分の席に戻った。


俺ってほんと、子供だな。

さらにまた、へこむ。



場所は変わって一年の校舎。
L字型になっている校舎は、短いLの底の部分が特待生組、長い横の部分が普通科組だ。

5階建の校舎は年々少子化の影響を受け、昔は一年生のクラスだけで4階と5階を使っていたのだが、今では4階のみで使っていない教室もある。

2年生は3階、3年生は2階。
1階は実験室や準備室があり薄暗い。

その薄暗い1階を抜けると、部活動を行う者の為の更衣室がある。

授業を終え部活に行こうとしていた姫川は、その薄暗い1階を一人で歩いていた。

「それにしてもいつ来てもこの廊下気味悪い」

鞄と部活用のスポーツバックを持って回りをキョロキョロしながら歩いていると、突然声をかけられた。

「姫川」

「っ………」

内心驚いて振り返ったが、薄暗い為顔が認識出来ない。声もあまり聞いたことがなく、眉間にシワを寄せながら姫川の元へゆっくり歩いてくるその人物をじっと見た。


「姫川今から部活?」

2m程の距離でやっと顔が見えた。

誰だこいつ。
あ、バスケ部で同じ一年だ。

でも名前は思い出せない。

「部活?」

「あ、うん」

必死に思い出そうとしていたら、再び話し掛けられた。
特待生ではないのはわかるのだが、なんせ今年は智希効果で一年生がたくさん入った。
自分もその中の一人だが、あまり印象のない相手を前に少しひるんだ。
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