「……父さん」
「んっ」
ソファに手をつき有志を抱きしめると、触るとさらにわかる熱さが伝わってきて眩暈がする。
気持ちよくなってくれた。
俺の手の中で。
あまりにもその事実が嬉しすぎて泣いてしまいそうだった。
「…智…服……俺ので汚れる…」
「ん?」
弱々しく智希の肩を掴みぐっと押すと、有志の胸に飛んだ精液のことを言っているのだろう、服が汚れるからと心配した。
正直、もう汚れているのだが。
「いいよ、これぐらい」
「でも」
「じゃあ脱ぐ」
「へっ」
まだ、有志の目は潤み定まっていない。
力のない言葉が出る中、智希は立ち上がり着ていた薄手のシャツを脱いだ。
「………」
智希が脱いでいるところをじっと見つめながら呼吸を整えさせ、現れた自分より筋肉のついた息子の胸板を見て思わず目を反らしてしまった。
「なに、上だけでそんな照れてんだよ」
「だってそんな…たくましくなってるって…思わなかったから」
最後に智希の上半身裸を見たのは中学校1年だったろうか。
リビングで着替えているところをたまたま通りかかり偶然見た。
その時から身長は30センチ近く伸び、バスケをしているからであろう胸と上腕のくっきりした筋肉が綺麗についている。
それでも高校生。まだ痩せている。
しかし自分よりはるかに良い体をしているため自分の貧弱さに恥ずかしくなり、今更ながら横を向いて前を隠した。
「今更なに隠してんだよ」
「だって」
仁王立ちになり溜息をつくと、だいたい予想はつくと半分呆れながら笑った。
でもそこがまた、可愛い。
「お前なに食べたらそんなでかく」
「父さんより大きくなりたかったからね」
「俺ほんと貧弱で恥ずかしっ……えっ…わっ!!」
不意をつかれ持ち上げられた。
いわゆるお姫様抱っこだ。
「えっちょっ何軽々持ち上げっ」
「父さんこそなに食べてんだよ。めちゃめちゃ軽いよ」
「煩い」
「父さん」
「…っ」
すねる有志の額にキスを落とすと、そのまま歩いてリビングを出た。
「えっえっなに…どこ行っ…」
「俺の部屋」
「………」
「俺のベッド、広いからね」
「………」
察したのだろう、頬が一気に赤くなり、折角整った呼吸がまた荒くなって行く。