第1章
63


「…………」

「だから俺っ……再婚はしないって決めたから…積極的に彼女作らなくて……」

「俺、ほんとにそんな事言った?」

「言った!」

「…………」


症状は6歳ですでに出ていたのか。
なんだか呆れてしまい大きなため息を付きながら有志に被さりソファに崩れ落ちる。

「?」

有志は自分の肩に顔を埋める智希の背中をさすりポンポンと叩きながら昔のことを思い出していた。

「でも、な。その時凄く嬉しかったんだ」

「………嬉しい?」

再び起き上がり見下ろすと、有志は智希の頬を撫でニコリと笑った。

「独占欲……なのかな?6歳の息子に自分さえいたらいいって言われて、こいつは俺だけのものだって思った」

「…………」



あぁ、なんて愛おしいのだろう。



「父さん…」

「とっも……んんっ」


再びきつく抱きしめ深いキスを落とすと、有志も目を閉じそれに答えた。

「……父さんの裸見たい」

「嫌だ、お前みたいにいい体じゃないから」

「そんなの関係ないよ。見せて、ね」

「あっ」

有志に覆いかぶさったままシャツのボタンを一つずつ取り中を開けさせていく。
嫌だと言っていた有志は抵抗せずただ智希の指の動きを見ているだけ。

少し、沈黙が続く。

「…綺麗」

「………」

全てボタンを外し中を覗くと、普段日焼けしない部分は白く35を過ぎているというのにきめ細かく潤っていた。

有志は恥ずかしそうに顔を背け下唇を噛む。

背中を浮かせシャツを取り床に置くと、カチャカチャとベルトも外し始めた。
流石にそれには驚いたようで、有志は肘をついて起き上がり智希の腕を掴む。

「こっちも?」

「うん、全部見たい」

「でも恥ずかし」

「大丈夫だよ、俺しかいないんだから」

「………」

不思議とその言葉は安心した。
誰かに見られるのは嫌だけど、智希ならいいかと思ってしまう。
再びソファに寝転び左手を胸のところに持ってきてぎゅっと握り目を閉じた。
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