「キス、好きなの?」
一旦唇を離し笑いながらソファに手をついて見下ろすと、有志はゆっくり目を開け潤んだ瞳で智希を見上げた。
「キス…とか……久しぶりだから…」
「っ………」
これはひどい。
これは本当に、ひどい。
「久しぶりって…父さん彼女とかいなかったの」
「だって…あっ」
シャツの中に手をいれ胸の突起を見つけると、首筋にキスを落としながら軽く爪で引っ掻いた。
有志はビクリと腰を揺らし悶えているようで言葉が出てこない。
再び智希はクスリと笑う。そして耳の中に舌を入れながら低く声を発した。
「だって…?」
「んんっ!みっ耳っ……やめっ」
「気持ち良くない?」
「おっ…音がっ」
クチュクチュと脳に響いているようで、くすぐったいを通り越してとても卑猥だ。
どんどん有志の顔が真っ赤に染まっていき、智希の背中に回している手が力を込めていく。
「…続き、言って」
「はっ……智希が6歳の時に」
「俺が6歳?」
なんでずっと彼女がいない理由が俺の年齢と関係があるんだ?
訳がわからず思わず愛撫を止め再び手をついて見下ろした。
すると先ほどより目が潤み息が上がっている有志を見て思わずゴクリと生唾を飲み込む。
「昔…智希…が……母親を欲しがってるかなって思って……聞いたんだ、一度」
「…………」
全く覚えていない。
『智、寂しい?』
『なにが?』
『お母さんがいなくて寂しいか?』
『?お母さん?』
『うん。もし智が寂しいんだったら父さん、新しいお母さんを…』
『いらない』
『え』
『お母さん別にいらない。僕はお父さんがいればいい』
『智希……』