第1章
34
「…ちがっ」

「ん?」

智希の首に手を回し少し恥ずかしそうに腰をくねらせると、腕を掴み自分の胸の突起へと導かせる。

「…気持ち…よかった…から……もっと触ってください」

「………」

火がつくというのはこういう事だろうか。
佐倉は目を潤ませ頬を上気させて智希の性欲を煽った。

「……乳首、気持ちいいんだ?」

「ん」

「へぇ」

嬉しそうに佐倉のシャツをめくり上半身をはだけさせると、ピンっとなっている胸の突起を口に含んだ。

「ふっ…んんっ」

女性の胸に比べれば突起は小ぶりだがちゃんと感度はあるようで、舌でいやらしく何度も舐め回すと佐倉の腰は震え、声を出すまいと思っているのか右手の甲で自分の口を塞いだ。

智希はその様子を見上げながら、空いた手を片方の胸の突起に添え爪で引っ掻いた。

「ひっ」

その叫び声は若干恐怖にも似ていて、少しやり過ぎたかと思ったが本人はまた腰をくねらせ頬を染めていた。

気持ちいいのか。

智希は親指の腹で胸の突起をきつめにグニグニと円を描くように押しまわした。

吸い付き、時折歯を立てられる刺激と爪で少々痛いぐらい押される刺激に、佐倉はどんどん息を荒げていく。

「…っ…あっ…泉水さん…っ…もっ…ち…」

「気持ちいい?」

「んっうんっ」

顔を真っ赤にさせながらも何度も頷く佐倉。
下半身をモジモジと揺らしていることに智希は気づいていたがあえて触らず、両手で胸の突起を弄りながら舌を首筋に這わせた。

「んんっくすぐった…んっ」

男だというのに佐倉は汗くさくなくむしろシャンプーかボディソープの匂いがほのかに良い香りがする。

父さんも、いい匂いするんだろうな。

そう思った瞬間、智希の下半身が大きく反応したのがわかった。
耳の裏を舐めながらスイッチの入る音が聞こえると、そのまま低く小さい声で佐倉に問う。

「……下、限界?」

「はっんんっはぁっ……はっ」

智希の声に酔ったのか、即答できず胸で息をしている。
胸への刺激を止め床に手を付き佐倉を見降ろすと、目じりに涙を溜め髪の毛は乱れ真っ赤なその顔が見えた。

佐倉は深く甘い呼吸をしながらネクタイを外しただけの智希の胸元にキスをする。
チュッ、と。痕がつくほどでもない小さなキスを一つ。
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