「やっぱみんなお前のファンだな」
「………清さん、キャプテン呼んでますよ」
「ほいー」
わざわざそれを言いに智希の所までやってきた清野は、リストバンドを左につけながらコートへ向かった。
ピッっという音とともにゲームが始まる。
「今年は特待何人ですか」
「4人」
「うちにしては多いっすね」
「昨年が一人だったからな」
「あー…」
「…んゴホンっ」
顧問と大谷が揃って智希を見た。
わざとらしく咳払いをすると、智希は白熱し始めたゲームに集中する。
「お前が入って活躍してくれたおかげで今年こそは全国大会いい所いけそうだよ」
「ども」
キャプテンが少しきつめに智希の背中をドンっと叩くと、照れたように鼻先を爪でかいた。
期待されるのは嬉しいけど、過大評価は好きじゃない。
そう思いながら新入生のベンチを見たら、また姫川と目があった。
あいつ俺のこと見すぎだろ。
段々呆れてきて、今度は照れなくなった。
「……7番、いい動きしますね」
「あ、お前もそう思う?」
ふと目に留まった新入生のゼッケン番号を言うと、顧問は嬉しそうに声を上げた。
「中学で有名だったんすか?」
「7番って…佐倉?佐倉 照(さくら てる)?」
「え、有名なんスか」
「お前、ちょっとは自分の学校以外の選手も把握しとけよ」
「ちゅーぼーじゃん」
ピっと笛がなり、点数が入る。
新入生6点、2、3年19点。
当たり前だが差が出てくる。しかし今の所その6点全てを獲っているのが佐倉だった。
「流石フォワード。ガンガン入れますねー」
「他の1年はお前が見てるからって張り切りすぎてんだろ」
「………」
「まじその褒められるの苦手なのさ、勿体無いよな」
「直したくても直せないんです」