「平日とか…俺が仕事でいないときに連れてきたり…」
「平日はずっと部活。んで父さんが帰って来るまでに食事の用意するから、家なんか連れてくる暇ないよ」
「ほんと?」
「ほんと」
「………」
有志は再び茶碗を持つと、誰にでもわかるぐらい嬉しそうにご飯を頬張った。
「…なに、なんでこの話題そんなしつこく聞くの?」
「…なんていうか…」
ゴクンっと音を鳴らし飲み込むと、同じくエビフライを取りおいしいと言いながら口に頬張る。
「…恥ずかしいけどね、お前も大人になっちゃんたんだなーって」
「なに、童貞かってこと?」
「ちがっ!!」
こういう話になると必ず顔を赤くし、怒る。
テレビのキスシーンも真っ赤にするぐらいウブ…なのか?
「んっ…ごほん。…昔はあんなにお父さん大好きーって言ってたのに、今では女の子に夢中なんだーって思ったらちょっと寂しく…」
パリンッ
「ん??」
話してる途中で智希の茶碗が床に落ちていった。
床には米がばらまかれ、寸前のところで味噌汁が倒れそうになっていたのをまず食い止める。
急に力が抜けたように智希の腕がだらんと伸びきりその光景に有志は顔を青ざめた。
「ちょっ…大丈夫か?どっか痛い?」
「っ…くっ……」
「えっ…」
智希は泣き崩れていた。