第3章
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「いっ、1回!」

「7回」

「なっ7回って毎日じゃないか!」

「じゃあ我慢して6回」

「に、2回」

「6回」

「…2回!」

「6」

「さ、3」

「6」

「……4」

「6」

「………5」

「うん、わかったじゃあ週5回な」

「え、え、え、え、え」

「自分で5回って言ったんだ。ちゃんと守ってよ」

は、はめられた。
俺体力もたねーよ。

セックスを週に何回するか、なんて呆れるような会話をしたあと、気づけば8時を回っていた。

「あ、俺そろそろ学校行くわ」

「ん。気をつけて」

「うん」

いつもと変わらない泉水家。
智希が弁当を作り、先にでる息子のために有志が玄関まで送る。

変わった事と言えば。


「いってきます」

「ん」

チュッ、と唇を重ね合わせる。

数秒で唇を離すと、智希は玄関の合わせ鏡で髪型をチェックし扉を開ける。

本当は、変わっていないのかもしれない。
ただ、今までそれを態度に出していなかっただけ、言葉にしていなかっただけ。

「いってらっしゃい」

今日も智希はいつも通り、
父、有志の満面の笑みを見つめながら学校へ行くのであった。


朱い水:完
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