第1章
12



家事は全て分担されていた。
食事、買出しは智希。
洗濯、風呂掃除、食器洗いは有志。

有志も料理をしようと何度も挑戦したのだが、どうもこういうのは不器用らしく、反対に器用でなんでもそつなくこなす智希が色々とやってくれている。
沙希も料理が凄くうまかったから、本当に智希は沙希似だな。

そう言われると、とても嬉しかった。

晩御飯も外食しようという有志に、智希は少し主夫っぽく無駄遣いするなと怒る。
お金を出すのは俺なのに…。そんなことを小さく愚痴るけど、この家で強いのはどちらかと言うと智希だ。

しかし無駄遣いするなとは言っているが、一番の理由は有志とずっと家にいたいからだ。
不純だけど純粋な思い。

夕食も作り終え、モグモグとゴハンを食べているとき突然昼の話を振られた。

「合コンとか、よくしてるの?」

「…別に。なに、行きたいの?」

「ばっ…!!……おっさんが行っても馬鹿にされるだけですー」


景品で貰ったキャラクターの茶碗が似合って、すねて口を尖らせるおっさんなんてあんまいないと思うけどな。


「なんなら行く?父さんすげー童顔だし25歳ぐらいでも信用されるんじゃない?」

「そうか?」

「嘘だよ」

「ひどい」

誰が大事な人を女に紹介するか。フンっと鼻で笑う。
しかしその鼻で笑った行為が、自分に向けられたのだと勘違いした有志は、さらに凹み茶碗をテーブルに置いてしまった。
38歳だが性格的に凹みやすい有志は息子の言葉を本気にしてしまいいつも落ち込んでしまう。

「彼女とか…連れてきたことある?」

「家に?」

「うん」

「ないよ」

あるわけないと付け加えようと思ったが、そこまで言うと色々聞かれそうなのでやめた。
ズズっと味噌汁をすすりエビフライをとると、自分でもうまくできたと思うその味に少し酔う。
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