「んっ、はっんん」
「っ父さん」
ほんの数秒だったというのに、あまりの激しさに有志は酸欠で顔が真っ赤だ。
午前中に倒れたこともあり目眩がする。
しかし今の智希には余裕がなくて、肩で息をする有志を抱きしめた。
「っ智」
「父さんごめん」
「?」
まだ少し視界がボヤけているけれど、手を回し背中をさすってあげる。
智希は有志の肩に顔を埋め搾り出す様に声を出した。
「父さんが仕事忙しいけど無理して時間作ってくれてたのに俺…ずっと拗ねてて」
「重里から聞いたのか」
コクン、と頷く。
「ずっと父さんから逃げてて…そしたら父さん、疲労で倒れて」
「今日はちょっと暑かったから、軽い立ちくらみにあっただけだよ」
「俺のせいで」
「智希のせいじゃないよ。それよりお前、今日試合だったんじゃ」
智希の頭を撫でながら顔を覗き込むと、もそもそと動いて有志の胸に頬を付ける。
トクントクンと心臓の音を感じながら目を閉じた。
「大丈夫、いっぱい点取ってきたから」
「最後までできた?」
「途中で抜けたけど、大丈夫だよ。絶対勝ってる」
「そっか……。ごめんな、俺が倒れたから」
「謝らないで」
智希は甘えるように顔を胸につけたまま見上げると、すまなさそうに眉を曲げている有志の頬に手を当てた。
「父さんのいない試合だから、全然楽しくなかった」
ゆっくり智希の手に自分の頬を当て、スリスリと寄せる。
「智希…好き」
「もう1回言って」
「智希が好き」
「もう一回」
「智希が好きだ」
「もっと」
「絶対、誰にも渡したくない」
「ん」
再びベットの音が鳴り、流れるように二人はキスをした。
「んっ、ん智希」
「父さん」
「んんっ、ん!ちょっ!」
何故こんなにキスがうまいのかと悔しがっていると、突然いつの間にかシーツの中に入ってきていた智希の手が有志の股間をなぞる。
背中の震える感覚に気付くと、有志は智希の腕を掴んで力を込めた。
しかし、力で敵わないのは承知の上で。
「触らせて」
「やめっ、智希誰か来たらっ」
「足音で気付くよ」
「ちょっ」
有志はついに起き上がり智希の手を止めようともがいたが、簡単に交わされ再び仰向けに寝転ばされた。
抵抗に全く動じず緩められていたベルトに手をかけボタンを外しチャックを降ろす。