第1章
11
とても素敵な人だった。
20歳で智希が出来た時、周囲は反対した。
でも、お母さんは本当にお父さんを愛してくれていたから、二人の子供を産みたいって言ってくれた。
だからお父さんはお母さんと生まれてくる子供を絶対に幸せにするって誓ったんだよ。

智希が生まれたとき本当に嬉しかった。
あんなに反対していたおじいちゃんやおばあちゃんも、生まれたての智希の顔見たら涙ポロポロ流しながらおめでとって言ってくれて。
智希が生まれてきてくれたから、おじいちゃんおばあちゃんと仲直りできたんだ。ありがとう。

そう言いながら必ず智希の頭を撫でる。
愛おしく、本当に愛おしく撫でる。

でも、二人共幸せにするって言ったのに、お母さんを死なせてしまった。

交通事故だったんでしょ?じゃあおとうさんのせいじゃないよ。

ありがとう、智。

ぼく、おかあさんのことはあまりわかんないけど、全然寂しくないよ。
いつもお父さんがいてくれるから。

うん、ありがとう。


お父さん、大好き。

うん。お父さんも。世界で一番お前が大好きだよ。


この感情は歪んでいるとは思わない。
正当だとも思わないけど、この感情は誰よりも純粋で暖かいものだと、思っている。信じている。

「そういえば、お前合コンとかするんだな」

「……なんだよ急に」
[12/171]
←BACKNEXT→
しおりを挟む
novel





























「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -