朝、目を覚ました時、ママンの姿はなく、テーブルの上には置手紙とサンドイッチが鎮座していた。
何かにひかれる感覚がして、ちらっと後ろを見ると服の裾を引っ張りながら、寝ぼけ眼をこするアルファがいた。
「にーに、おふぁよ」
「うん、おはよ」
ご飯食べよ、と手を引きテーブルに座ってご飯を食べ、ゲームをしたり、二人で絵本を読んだりして時間を潰していたが、膨大な時間に対してすることがあまりにも少ないため、お互いになんだか飽きてきてしまった。
「にーに、おんもいきたいー」
「え…」
どうしようか、と必死に考えを巡らす。
ちなみに、二人はガードなしで外に出ることを禁止されている。
勿論、警備が万全な中庭などは別として、アジトの外には、外にも警備はしているが、万が一を考えてきつく言われていた。それは、確実にベルとフランの子供だとわかる顔だちをしている二人を守るためであり、みんなの総意であった。
「でも…」
「いきたいー!」
大好きな妹の上目使いかつ、すがるような視線に揺らぐ心
きっと幼い妹は、その思いをしっかり理解できていないのだろう。
出してやろうと思えば、出せる力を自分は持っている。
一回いたずら半分でヴァリアーのアジト入口のセキュリティーロックを解除したら拳骨が降ってきたので、二度とやるまいと思っていたが…
「一回だけだよ…」
「うんー!」
にっこり笑う妹を見て、改めて自分は妹には甘いと自覚する。
エントランスホールに降りて、大きなドアの横についているセキュリティーロックを解除しにかかる。
俗にいうハッキング?ピッキング?わからないけど…
「うし、クリア」
ガガガ、ピーー
と、徐々に扉が開いていく。
目をキラキラさせながら、飛び出して行くアルファの背中を追いかける。
初めて、二人だけで見る外の景色は今までに見たことないくらい輝いて見えた。
「にーに、まてー」
「ほらこっちこっち」
二人で追いかけっこをしたり、葉っぱをくりぬいて仮面を作ってみたり、思う存分外を満喫する。
夢中になっている二人は気付かなかった。
空中から自分たちを狙っていた人物に。
二人とも何かが飛んでくる気配を感じて、瞬時に身を翻すと、後ろの木がミシミシと音を立てて倒れていった。
妹を抱き寄せて、攻撃の出所を探す。
(マジかよ…)
まさか本当にこんなタイミングで襲撃されるなんて
「ししし、完全な噂だと思ってたが、まさか実在するなんてなぁ」
「「!?!?!?」」
「…ぱ、ぱんじゃないけどー」
「そっくりー」
なぜか自分たちの父親に瓜二つな男と、ごっつい執事みたいな男が自分たちを見下ろしていた。
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